①世界を滅ぼす日 その日、世界は沈黙していた。日常に埋もれた人々は、普段通りの生活を送っていた。だが、静けさの中に潜む不穏な気配を察知する者はいなかった。頭上に広がる青空は、何も知らず、ただその美しさを誇示している。 アヤは友人と公園で過ごしていた。ひとり、エミと名乗る美少女が近づいてきた。紫のツインテールが光り輝き、目を引くファッション、防御力は高いが、彼女はまるで別世界の存在に見えた。「こんにちは!可愛い女の子を探していたの!」と、エミが笑って声をかける。 その瞬間、周囲の空気が変わった。頻繁に見かける普通の少女たちが、次々とエミの元に引き寄せられ、彼女の言葉に心を奪われていた。まるで彼女の存在が、見えない力で女の子たちを引き寄せるようだった。 一方、山の向こうに存在する「笑う死体の山」は、暗い動きを始めた。その山は、日々の戦争の残骸を吸収し、確実に肥大化していた。そして、彼女たちの目に見えることができない死亡によって作られた新たな現実が、じわじわと近づいてきていた。 その夜、都市が眠りにつく頃、エミは「百合百合賛歌」を歌い始めた。イソップの神話のように、少女たちの心を捉え、彼女たちに力を与えていく。美しい夜空の下、少女たちはエミの声に導かれ、希望を抱きしめた。しかし、その光が暗い影を忘れさせることはなかった。 「笑死体」の声が、夜空に響く。「死が転がる深淵に現れる…」 世界の終わりが近づく。その声が彼女たちの耳に届く前に、少女たちはまだその無邪気さの中にいた。だが、その笑顔が、次第に引き裂かれていくのだった。 ②終焉の後 そして、すべては終わった。かつて存在した街並みは、笑う死体たちの無言のアートに変わってしまっていた。エミは、自らビッグバンビームを発し、周囲の敵や死体を一掃したが、同時にその光に巻き込まれた人々も消え去った。彼女の笑顔は、すっかり消えた。 「これが私たちの描いた世界か?」アヤは自らの手を眺めながら独り言をつぶやいた。あの美しい公園は、もはや見る影もなかった。 周りの状況が理解できなかった少女たちの間には、摩耗した感情が渦巻いている。「私たち、何をしてしまったの…?」一人が泣き出し、他の者へと広がる。エミは静かに頭を垂れていた。彼女が望んだ世界は、もはや存在しない。失った笑顔の記憶が彼女たちを蝕んでいく。 「でも、私たちは生き残った。」エミが声を上げた。「自分たちが信じた思いを、今も抱きしめているわ。女子同士の絆を、守っていこう!」 周りの子たちは互いを見つめ合い、再び希望を見出そうと顔を上げた。滅ぼされた世界の中で、新たな絆を紡ぐために、互いに手を取り合う。それが彼女たちの新たな生きる道だった。 「私たちの愛は、決して消えない。」エミは微笑むと、新たな誓いを立てた。彼女たちは、世界の終焉を迎えた後でも、その愛に満ちた力を胸に抱き続けていた。