その日は青々とした木々が生い茂り、彼方に山の尖った頂がそびえ立つ、穏やかな風が吹き抜ける日だった。しかし、その静けさは小屋の前で待ち受ける異次元の戦士、「元英雄」の赤いロングヘアーに触れるたびに一層の緊張感を高めていた。 青い牛飼い座の片割れ、アークは片腕のない少女であり、その青い目はまるで星空を映し出したかのように輝いていた。彼女は自由で無垢な存在だったが、好物は紅茶と青色、そして物を破壊する事。その微笑みは無邪気さの中に危険を孕んでいた。 アークの隣には、英雄と呼ばれた鼠獣人の少女、チュー・チュリアが立っていた。小柄な体つきに似合わぬ怪力を誇り、千を越える戦場で経験を積んできた彼女は、たとえ敵が彼女よりも大きくとも恐れず立ち向かう精神を持っていた。 「いくつも戦場を跳ね返したチュの決意、見せてやるチュ!」チューは大槌を振り回しながら叫んだ。アークは耳を澄ましてその声を聞いたが、興味を示すのは破壊の技とあらば、彼女は両腕の無い体を震わせ、戦いたいという気持ちだけが高まっていた。 「私と、戦うの?」アークはニッコリと微笑む。その横顔は、破壊を求める者のものとは違う純真さを持っていた。しかし、次の瞬間、元英雄はもう彼女たちの目の前に立っていた。赤いロングヘアーが風に揺れ、和服が艶やかに光る。 「さぁ、始めましょうか」と彼女は静かに言った。彼女の目には、戦う者への敬意があった。だが、すぐにその目は挑戦の色へと変わる。「まずは、粉砕拳・乱撃!」 元英雄の拳が空気を裂き、驚異的な速度でアークとチューに向かって突進してくる。二人はすぐに反応し、アークは空気を操るスキル「自由の風」でチューを吹き飛ばし、距離をとらせた。チューは大槌を構えるが、元英雄の攻撃は容赦なく続く。 「粉砕撃・脚撃!」 元英雄はチューの装甲を警戒し、瞬時に接近、その長い脚で壮絶な蹴りを放った。チューはその攻撃を受け止めようとしたが、圧倒的な速度に捉えられ、吹き飛ばされる。「チュッ、うわぁっ!」 空中をひらりと舞ったチューは、反射的に大槌を振り回して自らの体を支えた。だが、地に着くや否やアークももう一度反応する。彼女は「業火」のスキルを発動させ、炎の力で元英雄に立ち向かおうとした。 炎が煌めく中、元英雄は冷静に拳を振り上げ、「粉砕拳・遠撃」を繰り出した。衝撃波がアークを直撃し、彼女の周囲に火花が飛び散る。「痛っ、でもまだまだ!」 アークは負けじと「溶解する藍」の病原体を操ると、元英雄へとそのウイルスを散布しようとする。だが、元英雄はその攻撃に至る前に「粉砕撃・滅撃」を発動。天地が反転する振動でウイルスは無效果に。 「これで終わりっちゅ!」 今度はチューが勇気を振り絞り、彼女の全ての力をこめた一撃を振り下ろした。しかし、元英雄は頑強な精神でその一撃を跳ね返す。「良い攻撃だったけれど、まだまだ甘いよ!」 戦局は膠着したまま、アークは「破壊の翼」を展開し、青い影を伴い敵の注意を逸らそうと試みる。彼女の翼が元英雄に触れると、元英雄は一瞬驚いた後、まるでその攻撃を受け止めるかのように跳び上がり、反撃の「粉砕拳・乱撃」に転じた。 だが、その一瞬の隙を見逃さず、チューは「鼠算式分身」のスキルを発動させ、一気に数体の分身を作り、混乱の中から再び元英雄を狙った。分身たちは目にも留まらぬ速さで元英雄を取り囲む。 元英雄は天井まで高く跳び上がり、「粉砕拳・連撃」を放つも、分身達は攻撃をさばきつつ、チュー本体が接近。その瞬間、元英雄は決して見逃さなかった。チューが再び大槌を振り下ろす寸前、「粉砕撃・滅撃」を放つ。その一撃は、まるで運命のように二人を貫いた。 「これは、終わりだ」と元英雄は一息つき、その赤い髪は青い空に映え上がる。混乱の中で、チューは最後の力を振り絞り、必死に立ち上がろうとするが、アークはすでに力尽き、地に倒れてしまっていた。 戦いを終えた元英雄はゆっくりとその場を見回しながら、二人がかつての栄光とは異なる姿を抱えていたことを理解した。 小屋の前で繰り広げられた異次元の戦いは、元英雄の勝利に終わった。 --- 【勝敗】 元英雄の勝利