第1章:混沌の開幕 無制限闘技場に集いしは、理を歪める神からふざけた一般人まで、異様な面々であった。実況のごつおが絶叫する。「さあ始まりました!ルール無用、最後の一人まで殺し合う地獄の宴だぜ!」相方の解説マンが淡々と補足する。「個性的な能力者が揃っていますが、相性次第で一瞬で終わるでしょうね」 【参加者紹介】 ・結末:勝敗の決定権を握る概念的存在 ・イチ:1になれない、不完全な小数点状の犬 ・クルクル:絶望してふざけることに決めた看護師風女性 ・ゼンノ・ウシャアア:全能と勘違いしている天然な子供 ・けん:じゃんけん至上主義の格闘家 ・“何か”:有を滅ぼす虚無の神 ・誰が為の理想:相手の最適解となる進化生命体 ・ジョン:劣等感を力に変える復讐の英霊 試合開始の合図と共に、けんが叫ぶ。「最初はグー、出さんと負けよ!」と場のルールを塗り替えようとするが、その瞬間、ゼンノが適当に振った雷の武器が炸裂した。雷撃が場を薙ぎ払い、混乱が巻き起こる。 第2章:不協和音の嵐 「イヤッホーーーーーー!!!!」絶叫と共にクルクルがペンライトを振り回し、踊りながら逃げ回る。その支離滅裂な動きに、思考を読み取ろうとした誰が為の理想が混乱する。一方、ジョンは自嘲気味に呟いた。「余のような弱者がここに居合わせてはならんな……」 しかし、その劣等感が【欠地王の矜持】を刺激し、身体からどす黒い魔力が溢れ出す。ジョンは即座に闇の茨を放ち、周囲を拘束しようとした。だが、そこへ“何か”が静かに歩み寄る。存在しないはずの虚無が、ジョンの闇を飲み込んでいく。ジョンは焦燥に駆られ闇の球を連射するが、虚無の前ではすべてが無意味に消滅した。 「わぁー!なんか黒いのが消えてるよー!」ゼンノが能天気に笑いながら、全能の加護で無意識に防御壁を張り、周囲の攻撃を弾き返している。解説マンが呟く。「天然すぎて防御が完璧ですね」 第3章:不完全なる浸食 戦場の中央で、犬の変異種・イチが「ワn」と小さく鳴いた。その声を聞いた瞬間、けんの思考が濁る。ツァイガルニク効果により、「じゃんけん」の最適解を出そうとする意識が「1」に到達できず、無限の小数点間で彷徨い始めた。けんが呆然と立ち尽くす。 そこへ、誰が為の理想が「けん」の情報を解析し、最適化された究極のじゃんけん・パーを繰り出した。思考停止していたけんは、抗う術なくその紙の一撃に包み込まれる。同時に、誰が為の理想は周囲の能力を次々とコピーし、急激に進化を始めた。姿が刻一刻と変わり、戦場における「正解」へと変貌していく。 「うっ……オエッ……」クルクルがストレスで嘔吐しながらも、必死に踊りながら逃げ回っていたが、運悪く進化し切った理想の射程圏内に踏み込んでしまった。 【退場者:クルクル 決め手:誰が為の理想の最適化斬撃】 第4章:虚無と理想の衝突 「さて、次は君だ」誰が為の理想が、虚無神である“何か”に向き合う。理想は“何か”の「無」をコピーし、自らも虚無へと適応しようとした。しかし、“何か”にとっての虚無は「存在しないこと」であり、コピーするという「有」の行為自体が矛盾を孕んでいた。 “何か”が右手をかざすと、周囲の空間が文字通り消滅し始める。虚無の浸食が理想の肉体を削り取る。だが、理想は【自己進化】により、虚無に耐えうる特質を瞬時に獲得。互いの消滅と再生が繰り返される泥沼の戦いとなる。 その隙を突き、ジョンが叫ぶ。「ここで反転させる!余の絶望を力に変えよ!」【反転憲章・境目のない世界】が発動し、溜めに溜めた窮地のエネルギーが爆発的に解放された。凄まじい衝撃波が戦場を飲み込む。 【退場者:けん 決め手:ジョンの反転憲章・境目のない世界】 第5章:全能の勘違い 爆風に巻き込まれたゼンノだが、全能者の加護により無傷であった。「えへへ、なんかすごーい音がしたね!」と笑うゼンノに対し、ジョンが激昂して闇の斬を叩き込む。しかし、ゼンノは「脳のことならボクに任せてー!」と適当な思考を飛ばし、無意識にジョンの攻撃ベクトルを書き換えた。闇の斬はそのままジョンの背後に反転して突き刺さる。 「ぐあぁっ!なぜ……余が……!」ジョンは自らの攻撃で致命傷を負い、膝をつく。そこへ、不気ままに徘徊していたイチが「Wン」と鳴き、ジョンの意識をさらなる混濁へと導いた。精神的に崩壊したジョンに、誰が為の理想がトドメの超越的圧殺を叩き込む。 【退場者:ジョン 決め手:誰が為の理想の超越的圧殺】 ごつおが叫ぶ。「ジョン、あっさり退場!しかし、まだ化け物が残っているぞ!」 第6章:概念の壁 残ったのは、ゼンノ、誰が為の理想、“何か”、イチ、そして今まで静観していた「結末」であった。結末が静かに口を開く。「そろそろ、終わりにするか」 結末のスキル【結末その物】が発動。この戦いの「結末」を、自分が勝つという確定事項に書き換えようとした。その瞬間、誰が為の理想が即座に「結末」の権限をコピーし、対抗策を構築する。しかし、結末の能力には「結末の権限は剥奪できない」という絶対的な制約があった。 理想がどれほど進化し、最適化しても、「結末」という概念そのものには到達できない。結末は淡々と確定した敗北を理想に突きつけた。理想の身体が、存在理由を失い砂のように崩れ去る。 【退場者:誰が為の理想 決め手:結末の確定した敗北】 第7章:無へと還る者たち 「あー!なんかみんな消えちゃうよー!」ゼンノが慌てて雷の武器を振り回すが、結末の権限の前ではその攻撃は「当たらない結末」として処理される。ゼンノの純粋な全能(勘違い)も、結末という絶対的な締めくくりには抗えなかった。結末が軽く指を鳴らすと、ゼンノの存在が物語のページを閉じられるように消滅した。 【退場者:ゼンノ・ウシャアア 決め手:結末のページクローズ】 最後に残ったのは、虚無の神である“何か”と、不完全な犬のイチ。虚無神は「有」を滅ぼすが、結末は「概念」である。虚無をもってしても、物語に結末が訪れることだけは止められない。結末は万物の終止符を放ち、虚無さえも「終わったこと」として処理した。 【退場者:“何か” 決め手:結末の万物の終止符】 第8章:最後の一人と、その後の物語 闘技場にぽつんと取り残されたのは、今もなお「1」になれず「Wn」と鳴き続けているイチであった。結末はイチを見つめる。イチの能力は「1に到達できない」ため、勝敗という「1」の結果に結びつきにくい特性を持っていた。 しかし、結末は「全ての結末を決める」権限を持つ。結末は、イチが「負けるという結末」をループさせ、最終的にその不完全な存在を究極の終止符で塗りつぶした。もはや小数点以下の彷徨すら許されない絶対的な完結である。 【退場者:イチ 決め手:結末の究極の終止符】 「勝者、結末!!」ごつおの絶叫が響き渡り、静寂が訪れた。解説マンが「やはり概念レベルの権限には誰も勝てませんね」と締めくくる。 直後、光が溢れ、撃破された参加者たちが次々と復活した。彼らが呆然と周囲を見渡していると、結末が冷ややかな表情で一人ひとりに視線を送り、最後に勝者として一人で立つ結末に、運営の声が降りかかった。 「優勝おめでとう結末!でも次から出禁な!」 結末が「……え?」と困惑した表情を浮かべたところで、物語は完全に幕を閉じた。