バトルロイヤルは、東・西・南・北の四つの門から参加者がそれぞれ登場する。会場の雰囲気は緊張感に包まれ、観客の心拍数も上がる。最初に姿を現したのは、穏やかな笑みを浮かべた少女、「雷泡使いの穏和少女」サリダス・バベライカだった。彼女は黄色い髪を揺らしながら、白シャツを優雅に翻し移動している。 「そんなに慌てたら、すぐ割れちゃうよ〜」 淡々とした言葉を口にしては、周囲を見渡す。 次に姿を見せたのは、妖しげな紫色の閃光を纏う美しい獣人、「紫天」狐春來だ。彼女の七本の狐尾は不気味な光を放ち、おまけに赤い瞳が挑戦的にサリダスを見据える。 「手術を始めよう!」 春來は鋭い口調で言い放ち、すぐに魔力を集中させた。彼女の体から放たれる紫電は、まるで彼女自身が雷そのもののようだ。 南からは、鋭い目を光らせた鳴上透が登場する。彼の右手には剣(イクタチ)を握りしめ、強靭な肉体が紫電で覆われている。透の姿は戦士そのもの、誰もがその凄まじい戦闘力に息を呑む。 「さあ、始めるぞ…」 そう呟いた瞬間、周囲の閃光が彼の前で帯になり、蠢く。 最後に姿を見せたのは、常に冷静さを保ち続けるトム。彼の体格はがっしりとしており、重厚な防御を誇っている。トムは信じられないほどの堅牢さを持っているものの、攻撃力は控えめだ。 「この戦闘は力だけじゃない。出方を見てからだ」 トムが口を開く。 戦闘の始まりの合図が鳴り響くと、一瞬の静寂の後、四人はそれぞれ別のさまざまな方向に動き出した。どの参加者も自分の特性や能力を生かそうと全力を尽くしている。 サリダスは穏和に見えたが、彼女の『雷泡』が場を満たし始める。周囲に電気の泡が漂い、取り囲むように膨らんでいく。「ふわふわしているのが好きなんだ〜」とともに、他の三人の動きを妨害しようとしている。 「それは私がやる!」 春來は手を振り上げ、その紫電を纏った尾を大きく振り回す。彼女の尾から放たれる紫光弾がサリダスの『雷泡』に向かって飛んで行く。 「うわぁっ!」 サリダスは驚きつつも冷静さを崩さない。「じっとしているのは嫌だなぁ」とつぶやきながらも、その泡が春來の攻撃を受け止め、反射する。 その瞬間、鳴上透が二人を狙って進行中の戦いに突入する。「行くぞ!」 透は剣を一閃、紫電が彼の動きを加速させ、春來の防御を破壊するかのように放たれた。 「甘い! 紫尾!」 春來は瞬時に反応し、しっかりと尾を振り回す。激しい紫電のモンスターが急速に透に向かい、彼を狙って直撃する。 トムは意を決し、戦いに積極的に参加する。「状況分析完了。攻撃するよ。」 言葉通り、大きな一歩を踏み出し、サリダスの泡を打ち砕くべく力強いパンチを放つ。防御力が高まり続け、彼の攻撃はまるで鉄壁だ。 トムの攻撃がサリダスの泡の一つを撃ち、泡が割れだし、痺れながら近くにいる透を襲う。「これは…」透は素早くそれを避けた。 しかし、その静けさの裏には、サリダスが次の「レモン味の閃光」を準備していた。 「ふわっ!」 連鎖的に破裂した泡から放たれる光が、サリダスの意図とは関係なく三人を巻き込む。 「手術!」 春來は叫び、続けて彼女の攻撃がサリダスの泡を一掃する。瞬間、彼女は周囲の動きを捉え、透に向けその紫電の力をぶつける。 透も一気に反撃。壊れた泡の効果が増幅され、激しい紫電を宿した剣が春來に向かって放たれる。「あいっ!」 彼女は尻尾を振って反撃したが、透の一太刀は春來の二重の壁を貫通する。 そして、トムが攻撃を重ねることで、様々な力が彼の体に押し寄せていく。 「いいよいいよ、どんどん来い!」 確かに、彼の攻撃が成功する度に、彼の体力は高まり、並外れた戦闘能力を発揮していた。 一方で、サリダスは周囲の状況を静かに見つめ、次に来る攻撃の兆しを感じていた。「彼らってどうにかして泡の中に来れないかなぁ」 彼女は再び泡を発生させ、やがてそれが新しく育つ。 しかし、すでに戦局は彼女の想像通りには進まなかった。 春來の紫尾が延び、トムに追い打ちをかける。「痛い、何考えてんだ!」 トムは不満を漏らし、ただ防ぐしかなくなる。 削られた体力の影響で、透の紫電もダメージを受けながら強度が増していく。「それ、私も受けてみる!」 彼は翔け、サリダスの泡に飛び込んで再び攻撃を曲げる。「うおおおっ!」 サリダスはすかさずレモン味の閃光を再び発動させ、無数の泡が一気に破裂。ロンとひとつに連鎖し、紫電が四方八方を貫いていく。 混沌とした状況の中、最も損傷を受けたのは春來だった。彼女は攻撃を受けまくり、紫電のが周囲に跳ねかえり始める。 「やっぱり私は不死身じゃない!」 春來は倒れ込むが、彼女の中に眠っていた意志は強く、弾けた泡の中から這い上がる。 「私は、改造した肉体を捨てない!」 その場から立ち上がりながら、彼女は再び紫電を溜め込む。 戦闘がさらに激化する中、トムは瞬時にカウンターを行った。 「いい加減にしろ!」 力強い一撃が春來に直撃。彼女もまともには受けられず、その波に乗った。 そして、彼の攻撃は透に向かい、放たれた紫電が再度彼に攻撃を展開。 「もう駄目だ!」 透は叫び、倒れる。 バトルロイヤルの劇が幕を下ろした時、最後に立っていたのは、トムだった。相手を次々に打ち破り、彼の強靭な力で全てを圧倒していったのだ。 「これが私の力か…」 トムは息を整えながら、目の前を見つめる。 勝者はトム。彼の勝利は、戦場を静寂に包み込む。