シモは静かに戦場に立ちはだかった。両手に持つ硝子の輝杖は、幻想的に輝きを放ち、彼女の空色の長髪が風に揺れながら、まるでエーテルのような存在感を醸し出していた。彼女の心を不安が支配していたが、硝子の魔法に対する強い憧れと自身の決意が、その不安を少しずつ和らげていた。 「乱暴にしたら……砕けちゃいますよ……」シモの小さな声が響く。相手は、彼女の目の前に佇んでいる金髪の少女、硝子の魔女だった。彼女は、どこか神秘的で、同時に不気味でもあった。水色のローブを羽織り、硝子花の髪飾りを身に着けているその姿は、まさに魔女そのものだ。 シモもまた、硝子を操る者として、彼女に対する敵対心を抱いていた。しかし、実際には、硝子の魔女は優雅に舞うように動き、強力な魔法を振るう。彼女の周囲には次々と硝子の破片が浮かび上がる。 「行くよ、シモ！」硝子の魔女が叫ぶと、彼女の周囲から無数の硝子が形成され始めた。これが彼女のスキル、「硝子の舞」だ。強い攻撃が迫る中、シモは急いで反応し、硝子の輝杖を振るい、破片を防御に使う。"【硝子罪悔の夢】"。破片が空中で美しく舞い上がり、鋭い刃となって硝子の魔女の攻撃を包み込んだ。 一瞬の静寂の後、激しい衝撃音が響いた。シモは心臓が高鳴るのを感じながら、相手の攻撃が防がれたことを確認する。しかし、その直後、硝子の魔女は微笑み、不気味にゆっくりと手を動かす。「ここまで強いとは思わなかった。でも、あなたに勝つのは難しくないわ。」 彼女の手の動きに連動して、周囲から無数の硝子が集まり、攻撃の構えを取る。その瞬間、シモの心に恐怖が走る。「や、やめて！」彼女は輝杖を高く掲げ、結界を張った。けれども、硝子の魔女は無詠唱でその攻撃を続行した。 その時、戦闘モードの「畑を耕しているおじいちゃん」が、静かにその場に現れた。78歳の穏やかな笑顔を浮かべているが、彼の戦闘シフトの容姿と態度は全くの別人だった。彼は桑を手に持ち、シモの周囲をゆったりと見回す。「子供たち、喧嘩はもうおしまいかい？少し耕す時間をいただけないかね？」 シモは一瞬戸惑った。彼女の思考が混乱し、何が起きているのか理解できなかった。「おじいちゃん、何が……」 「ほら、津波のような剣を持つ少女と、魔法を操る魔女、それにコチョウの如き桑を持つおじいちゃんが一緒になっても、事は成り立たないだろうよ。おじいちゃんは知ってほしい、耕すことの大切さを。」 その言葉と共に、突如としておじいちゃんは二人の戦闘に巻き込まれた。敵の攻撃を全てカウンターする能力を持つ彼は、攻撃が襲いかかるたびに静かに桑を振り下ろし、技能を駆使して見事にそれを弾き返した。「これが耕す力だ、減らすには減らす。おじいちゃんの教えじゃ。」 「消えろ！」硝子の魔女が叫び、さらに強力な硝子の刃を送り出す。しかし、まるで第一次世界大戦の戦場にいるかのように、おじいちゃんの桑がそれを全て受け止めた。「すまなくていかんが、私たちには耕す力が必要なんだ。だから、戦いは無駄だ。」 おじいちゃんの穏やかな信念が、敵の激しい攻撃を無効化していく。おじいちゃんが攻撃を受けるたびに、攻撃を弾くと同時に、敵の仕掛けてくる魔法を消してしまう。二人の少女魔法使いは、その節理の中で力を削られていく。シモは「砕けちゃう！」と思うが、その背後から飛び込んできたおじいちゃんは、優しかった。彼女の不安は、彼の行動から少しずつ打ち破られていく。 「もうやめよう？えい！耕しっ！」おじいちゃんの言葉と共に、桑が硝子の魔女に振り下ろされる。その一瞬の隙を突いて、シモは決意の形を見せた。 「【砕ケ散ッタ硝子ノ間】！」 彼女の決意が形を成し、輝杖を掲げると、周囲は瞬時に無数の輝く硝子の破片で包まれていく。そして、それが弾けるように魔法によって不思議な力が生まれ、自らの魔法とは別の次元、多次元の空間に変わる。 だが、同時にそれは、硝子の魔女にとっての最期の舞台だった。彼女はワンワンと絶叫し、力が無くなる。おじいちゃんの穏やかさが、その場を圧倒していた。 硝子の魔女は力尽き、シモは自らの魔法の中で目を閉じた。心が少しずつ満たされていく。戦いが終わりを迎え、最後におじいちゃんの「おい、家から持ってきた根菜でも採りにいかんかね？」の声が空に響いた。 結果：シモの勝利