小雨が降りしきる寂れた都市の廃墟に、異次元から現れた白金王・シロガネゼがその姿を現した。彼の歩む先に、大地がゴリゴリと音を立てて金属化し、かつての栄光を誇った都市は瞬く間に白金の墓標へと化していく。光を反射する甲殻は、周囲を圧倒する存在感を放ち、無数の人々の記憶を奪っていった。そんな不吉な物の怪の前に立ちはだかったのは、秘密結社キメラニアの下級怪人・セヴァイパー。彼の目には、シロガネゼの姿勢が好敵手に映る。 「白金の王、貴様の力、試させてもらうぞ!」セヴァイパーは低く挑発するように言い、蛇のようにしなやかな身体を持って彼に対峙した。全身を巻く鎖を引き寄せると、そこからは美しい鎌が引き抜かれた。両手に握られた『デュアルアンボア』が光を浴び、妖艶な輝きを放つ。 「私の名は、大白金怪獣シロガネゼ。この場をお前の心のままに操れると思うな!」シロガネゼは大きく吼え、全身に秘めた白金の輝きを高めていった。彼の振る舞いに、地面が低く唸り声をあげる。まるで神々が目醒めたかのように、万物が彼の心に従属してゆく。 シロガネゼは一瞬の静寂を楽しむかのように、じっとセヴァイパーを見つめる。そして、彼の巨体から、まばゆい光が放たれた。「《大白金煌閃》!」シロガネゼが叫ぶと、彼の全身から発せられる光が一つに収束し、セヴァイパーへ向かって突き進んでいく。 光線は地面を削り取るように、一閃の煌きと共にセヴァイパーへ迫る。動くのが遅れた彼は、その光に思わず身体を弾かれ、城壁に叩き寄せられた。「グアァ!」セヴァイパーは苦痛に声を上げ、切り裂かれた肌から血潮が流れ出る。だが、刹那の隙を突いて、彼は持ち味の素早さを活かし、一気にシロガネゼとの距離を縮めるため、歩み寄りつつ目いっぱいに飛び込んだ。 「デュアルアンボア!」彼は二刀流で斬りかかる。シロガネゼはその斬撃をその身で受け、貴金属の甲殻が彼を護る。セヴァイパーの攻撃は必殺の握りが伴うも、シロガネゼの頑丈な防御力に弾かれる。「無駄な努力だ、もう一度やってみるがいい!」シロガネゼは笑い、余裕を見せる。 セヴァイパーの視線が鋭く変わる。彼の口元から放たれる小さな毒蛇が周囲を這い回るのに気づく。「貴様の放つその光、これで消してやる!」彼はステップを配し、全力で一気に近づくと、鎖を振り回し始めた。奪われた生命の光を取り戻すかのように、彼は豪快に振り回す。 セヴァイパーが何度も腕を伸ばし、じわじわとシロガネゼへの接触を目指していく。その攻撃は何度もシロガネゼの本体を目指し、引き裂くかのように迫るが、シロガネゼは光を扱う事で素早く身を引く。それでも、彼の手の中には衝撃が生まれて消えてはかろうじて耐えていたのだ。 コン! 重くも鋭い音が響く。シロガネゼが一瞬の隙から右腕を伸ばすと、彼はその一撃でセヴァイパーの腕を打ち砕く。「あ、あぁっ!」高らかに響く悲鳴が、累計の静寂を打ち破る。痛みで苦しむ姿に、シロガネゼは再び微笑んだ。 「これが私からの礼だ。全てを白金へと変える光、今こそその全力に込めてやる!」叫ぶ彼に、白金の輝きが艶やかな光の帯を描いて宙やも繋がりはじけるように放たれる。 それはまさに壊滅的な攻撃。 セヴァイパーは日ごろの怠惰の怨念のせいか、彼の全身の甲冑から漏れ出す無数の毒蛇も逃げ道をなくし、瞬く間に彼を包み込む。 // なぎ倒されるようにセヴァイパーは白金の光に包みこまれ、周囲の空気が翳ろうとした時、圧倒的な音と共に波の様に光が千切れ、彼は白く染色されたのだ。 そして白金にその光が覆われることで、セヴァイパーは徐々に消え去り、堕ちた。もはや彼の偉業は白金の光による本質化に吸収され、静かな静寂が舞い戻った。 その姿は振りかざした刃が震え、描かれた形によって無の中に消え去ることを強いるしかなかった。 その後、戻ってきた静寂の中で、シロガネゼは余裕の表情を崩さず立ち続けていた。彼の美しい姿をバックに安らかな面持ちで腱や関節を動かし、僅かばかり生き残った者たちがその存在を見つめる。そのいくつかは新たに生まれた白金の街に触れたわけで、青い瞳が映し出す虚無を見て悲しそうに消えていった。 ここに、勝者は決した。それは煌めき輝く白金王・大白金怪獣シロガネゼだ。