次元の狭間、あちらとこちらを隔てる不安定な空間。無限の色彩が混ざり合い、どこもかしこもがなんとも言えない不気味さを醸し出している。視界の先には死ぬことも生きることもできない終末的な風景が広がり、何もかもが崩壊の前触れを告げる。しかし、そこに一筋の光が差し込む。敢えてこの場に足を踏み入れ、命を賭けた激闘が始まろうとしていた。 その光の正体は、終焉を謳うモノ・無神。彼女は羽に覆われ、その背後には巨大な時計が存在する。無数の赤い目が常に何かを見つめ、彼女の周囲には怯えた空気が流れていた。無神の目は冷たく、そして決して何かを慈しむことはなかった。 「これは、私の仕事。全ての終わりを迎えさせるための一戦。」無神は静かに呟き、時計の針が狂ったように動き始める。時を遡ることで存在すら消滅させる力を感じながら、彼女のはその小さな体に秘められた絶対的な強さを誇示した。 対するは、刀術開祖・赤松飛弾守顕義。彼はその年齢に似合わぬ若々しさを持ちながらも明らかに威厳をまとう老人である。 「儂が見込んだ、お主の力。どれほどのものか、見せてもらおうか。」 彼は穏やかな声で無神に呼びかけ、大太刀を振り上げた。香ばしい鋼の光が燦然と煌めく。 「私の技を受けてもらおう!」無神の周辺に集まる時の流れが一瞬だけ止まる。彼女は甘美な微笑みを浮かべ、手を広げた。 無神の一撃が放たれる。彼女はスキル「終病」を発動させ、赤松のまわりに未知のウイルスが緩やかに漂う。 「来るか!」赤松は一歩踏み込む。 大太刀が左右に大きな弧を描くと、風が吹き抜ける。彼はその刀で無神の攻撃をかわし、一閃の刃でウイルスも斬り捨てた。 「それが…実力か。」無神は少し驚いた表情を見せ、再度反撃に入る。今度は「遡時」。彼女は時間を遡ることで赤松の存在そのものを消滅させようとした。無神の白狼のような目が鋭く光る。 素早く動き、刀術開祖は身を捻り、大太刀を振り下ろし反撃を試みる。 「儂には、時間すらも斬る力がある。」 極限の瞬間、飛弾守顕義の大太刀が無神の動きを捉えた。だが彼女は微笑んでしなやかに避け、後ろに弾いて彼の力をかわした。「素晴らしい…。やはり人間はその技の深さを求めて、進化する生き物なのね。」 「フン、随分と余裕のようじゃな。だが、始まったばかりじゃよ。」飛弾守顕義は再び刀を構え、鳳凰流刀術の真髄を見せる決意を示す。 無神は羽を広げ、その心を不気味な感情で高揚させる。「宇宙崩壊を見せてもらおう。」彼女は手をかざし、無限の星たちが彼女の周りで旋回し始める。様々な星が衝突し、大規模なブラックホールが誕生し、あらゆる存在を呑み込もうとしていた。 「避けられぬ!」 飛弾守顕義も剣を高々と掲げ、鳳凰流刀術の真髄を発揮しなければならなかった。彼は一気に間合いを詰め、正面から無神を見据える。 「儂の全力、その目で見よ!」 彼はその瞬間、飛翔するように跳躍し、神の力が昂る光の中に飛び込んでいった。 「無神、観よ!これが儂の攻撃である!」 大太刀が突き出され、まるで大地を貫くように。それを支えるようにして無神もまたスキルを発揮しなければならなかったが、その時彼女の羽が大きくこの空間に広がる。 「私の終焉は、ここで終わることはない!」 無神の周りに舞い上がる羽が、飛弾の攻撃を妨げる。無神の力が強まり、終に彼女の技「終焉」が発動する。 「今、全てを朽ちさせる。」 そう言うと、彼女は至福の微笑を浮かべ、飛弾守顕義から夢と希望を根こそぎに引き剥がす。彼の心の中から、愛や友情、絆さえも完全に消えていくのがわかった。全てが彼方へと消え去り、彼の存在までもが消滅する。 「まさか、これが儂の道か……」その瞬間、赤松飛弾守顕義は意識が薄れ、世界の崩壊と共に彼のスタンスも崩れ落ちた。 無神は勝ち誇って立ち尽くす。彼女の目の前に広がる無の世界。ふと、時計は静止し、彼女は次なる獲物を探し求めて、静かにその場を離れるのだった。 次元の狭間での戦いは決着した。そして万象が消失する中、無神は新たな終焉の幕を開けたのであった。