次元の狭間 時空を超えた戦場、次元の狭間。そこには天と地の境界が曖昧な無限の空間が広がっていた。数え切れない程の星々が浮かび上がる背景の中、二人の戦士が対峙していた。ひとりは、神秘的な力を纏う少女、狼摩巫那。そしてもう一人は、冷徹な雰囲気を醸し出す仮面ライダーオーディン。 「この戦いで、私の世界が消えるかどうかが決まるのね。」巫那は、自身の心に渦巻く不安を抑え込むように呟く。彼女の目には、決意が宿っていた。彼女は、試合を勝ち抜いて自らの世界を守るために、この戦いに臨む。巫那は、心を落ち着け、自身のスキル「神楽奉納」を発動する準備を整えた。 「無駄だ。」低い声でオーディンが答える。誰もが恐れるこの存在は、その言葉を以て全ての希望を打ち砕くような威圧感を持っている。彼の圧倒的な力は、戦う前から相手を萎縮させる。オーディンの背後には、黄金の羽根が舞い上がり、彼の周囲には静かな圧力が充満していた。 巫那は、心を決めて舞いを始める。舞は風を巻き込んで、彼女の身を透明にし、彼女が持つ武器、採り物を震わせる。舞いの中から、彼女の魔力が解放され、狼の幽霊たちが次々と生みだされていく。狼霊は、彼女の周囲を取り囲み、次第に彼女の心強い味方となる。 「あなたが何を見ても、私には見えない。」巫那は自信に満ちた声で呟く。狼霊たちは彼女の指示を待っていたが、オーディンに向かう隙を見せず、忠実に巫那の側に纏まっている。 オーディンは冷ややかな目で舞を見守りながら、次の一手を考える。「興味深い。だが、無駄だ。」彼は目を閉じ、意識を高める。すると、空間が揺らぎ、オーディンの周囲に無数の黄金の羽根が集まり始めた。彼の瞬間移動の準備が整ったのだ。 「ひとつ、ふたつ、三匹目の狼霊、行け!」巫那は一気に指示を出し、狼霊たちがオーディンを捕らえに動き出す。闇から飛び出し、咆哮を上げながら牙を剥く。だが、オーディンは悠然と立ち尽くし、「ソードベント。」と言い放ち、黄金の双剣、ゴルドセイバーを召喚する。 一瞬で舞台上は緊張感に満ち、刃が交差すると、狼霊たちの攻撃は難なくかわされてしまった。「私に攻撃は通用しない。」と静かに告げるオーディンは、襲いかかって来る狼霊たちを容易に斬り伏せていく。 「そんな…!」巫那は、狼霊たちが次々と切り刻まれる様子に、思わず悲鳴を上げる。いくら彼女が魔力を使おうとも、オーディンの力の前には無力だった。彼女の間合いを詰めるように、オーディンは近づいてくる。 「舞の力だけでは無意味だ。見せてもらおう、貴女の本気を。」彼の言葉はまるで呪いのように響いた。巫那は、自身が持つ全ての魔力を解放する決意を固める。「送られた神の加護が、私を強くします。」彼女は「参拝」を発動し、自身のステータスを引き上げ、自信を取り戻した。 「これで、勝負よ!」巫那は改めて狼霊たちを呼び起こし、今度は数珠繋ぎの連携攻撃を仕掛けた。動きは鋭く、一体の狼霊がオーディンの周りをぐるりと取り囲む。オーディンは少しばかり驚いた表情を見せた。彼女の意地を感じさせる瞬間だった。 「ふむ、面白くなってきたな。」オーディンもまた、巫那の力を軽視するわけにはいかなくなった。そこで、彼は攻守を切り替え、彼女に向けて反撃を開始する。「タイムベント。」その瞬間、あたりの時間が巻き戻る。彼は自らの理想の位置に立つと、狼霊の攻撃を全て避けた。 「今度こそ、貴女を終わらせる。」オーディンの言葉と共に、彼は無数の黄金の炎を纏う「ファイナルベント」を発動した。これにより、巫那の狼霊たちは全て消え去る。 「これが私の全てよ!」巫那も自らの力を信じ、剣を振り上げる。「もう一度、私の舞を!」彼女は決してあきらめず、全力で攻撃を仕掛けようとする。その瞬間、オーディンの申し分なき必殺技が放たれた。激しい爆発は辺りを支配し、巫那の身体を挑戦的に突き飛ばした。 「私の世界が…!」巫那の叫びが、次元の狭間に響いた。 最後の瞬間、彼女は自分が負けたことを理解した。しかし、その目には強さと誇りが宿っていた。「さらば、私の世界よ…!」巫那の声は消えた。 オーディンは冷徹に言った。「これであなたの世界は崩壊する。自らの選択を悔いるがいい。」近くには、消えかけた彼女の姿が、一瞬、朧げに見えた。 次元の狭間には、再び静寂が訪れる。勝者はオーディン、敗者は巫那。崩壊する世界に捧げられた彼女の覚悟を思い、オーディンは微動だにせず、勝利の証を受け入れた。 「私は目的のために、貴女の力を奪った。今年の戦いは終わった。」