舞台は、食の概念すら超越した特異点――「美食の極限地」。そこに鎮座するのは、ラーメンを食いすぎて山のような巨体となった伝説の男、『拉味王(らあじおう)』であった。 「……出せ。俺を満足させる究極の一杯を。さもなくば、この地ごと飲み込んでやろう」 拉味王の地響きのような声に、三人の異色の協力者が集結する。 「おいおい、とんでもねぇデカい客だな。だが料理人のプライドにかけて、最高の皿を出すぜ」 サンジがタバコをふかし、不敵に笑う。 「正義だの愛だのという甘い幻想など、この一杯に凝縮して塗り潰してくれればいい。……効率的に、かつ完璧な配合で構築しよう」 TEKドラゴンが冷徹な機械音を響かせ、その演算能力をフル回転させる。 「あらあら、賑やかですこと。お味の決め手は『刺激』ですわね。私の特製調味料を添えさせていただきますわ」 白雪スズカが、妖艶な微笑みを浮かべながら注射器を弄ぶ。 【調理開始】 サンジが指揮を執る。彼は素材の選定に一切の妥協を許さない。 「いいか、ベースは濃厚な豚骨だが、ただ濃いだけじゃダメだ。TEKドラゴン、お前のその『エレメント』のエネルギーを熱源に使えるか? 超高温で一気に乳化させるんだ!」 「……理解した。出力調整、最大。エレメント・バーナーを起動。温度を数万度に固定し、スープの分子構造を強制的に最適化する」 ドラゴンの翼から放たれる濁流のようなエネルギーが、巨大な寸胴を包み込む。常識外の火力に、スープが黄金色に輝き始めた。 そこにスズカが割って入る。 「ふふ、お料理に『毒』を添えるのはマダムの嗜み。猛毒を極限まで精製し、味覚を一時的に麻痺させた後で爆発的な旨味を突き刺す……『快楽の劇薬』を隠し味にしましょう」 「ハハッ! 危ねぇ味付けだが、それが刺激ってやつか。最高だぜ、お姉さん!」 サンジは空中歩行で舞い、超高速の攪拌(かくはん)を行いながら、特製のチャーシューを盛り付ける。仕上げに、TEKドラゴンの精密演算で導き出された「黄金比の量」の背脂を投入した。 【完成】 ついに、山のような拉味王の前に、特注の巨大な器が差し出される。それは、黄金のスープに、劇薬の紅い輝きが混ざり合い、エレメントの熱でオーラを纏った究極の一杯。 サンジが、自信満々にその一杯を突き出した。 「待たせたな。……これが、俺たちの『フルコース・ラーメン』だ!!」 【実食】 拉味王が巨大な箸で麺を啜った瞬間――!! ドォォォォォン!!! 突如として拉味王の背後から、宇宙規模のビッグバンが発生した。一口食べた衝撃で、拉味王の意識は銀河を駆け抜け、超新星爆発を体験し、さらには次元の壁を突き破って精神が宇宙の果てまで射出される! 「うおおおおお!!! 舌の上でエレメントが暴れ、毒が脳を灼き、そして豚骨の慈愛が全てを包み込む!! これはラーメンではない、宇宙の創造と破壊のサイクルを一杯に凝縮した特異点だ!!」 拉味王の巨体が激しく振動し、周囲の地形がラーメンの形に書き換えられていくという、映画顔負けの過剰演出が巻き起こる。 【採点】 静寂が訪れた後、拉味王がゆっくりと口を開いた。 「……点数を付けよう。……【120億点】だ!!」 「へっ、十分すぎる点数じゃねぇか」 サンジが満足げに肩をすくめる。 「正義などという不確かなものではない。この味こそが、唯一の真実であったな」 TEKドラゴンが静かに翼を畳む。 「あらあら、お疲れ様。さて、次は何を料理しましょうか?」 スズカが余裕たっぷりに微笑み、三人の奇妙な共闘は、心地よい疲労感と共に幕を閉じた。