薄暗く、荒れ果てたビルの廊下を静かに進むイラは、周囲の静寂に耳を傾けていた。彼の隣には、スーチェと薄雪がいる。三人は、ウォルタナ王国騎士団の極秘命令を受けて、人質を救出するためにここに集まった。ビルは、テロリストによって占拠されており、彼らは武装して警戒心を高めていた。敵の配置や数は不明だが、一部屋ずつ確認しながら進むしかない。 「作戦確認だ」イラが低い声で指示を出す。"まず、隠密行動を徹底する。敵の動きを探り、情報を得たら連携して攻撃する。もし、見つかった場合、無駄な発砲は避けるべきだ。人質の命が最優先だ。" すぐにスーチェは影に溶け込むようにその場を離れ、イラと薄雪は進み続けた。彼女の動きは軽快で、もちろん敵には気づかれていない。 スーチェは廊下の左右の部屋から敵の気配を感じていた。「オイラが下を見てくるから、あんたたちは先に進んで。あんたの声が聞こえるか分かんねんだから」と言い残して、部屋のひとつに忍び込む。彼女の腕は甲殻に覆われ、その爪で静かに扉を開けた。 部屋の中は薄暗く、デスクには数人の敵が話し込んでいるが、相手の注意は向いていない。スーチェはそっと近づき、彼らの会話を盗み聞く。そして、彼女が気づいたのは、人質がどこかの部屋に監禁されているという情報だった。物音に気づかれないように慎重に後退し、廊下に戻る。 「人質は、南側の偉大なる王の間近だって」とスーチェが言った。 イラは頷く。「情報をありがとう、ただし早めに行動を起こさないと、彼女の身が危険だ。」 次は南側の廊下を進んだ。ビルの構造は複雑で、部屋の数も多く、敵の目が光っている可能性が高い。薄雪は静かに周囲を見渡し、敵の位置を確認していた。 「私がバレないように前を進む。」 彼は立ったまま、重さのないように動いていく。彼の左眼は見えない敵の位置を探っている。 イラは、先に進んだ薄雪に続き、隠密を決めて前進した。"この階には、敵がもうすでにいる。" 薄雪が呟く。 部屋の奥に少し陽が差し込んでいるのが見えた。その光を背に、イラも動き始める。彼のレイピア「ウォルレピア」は、水を纏った状態で、敵に向かって静かに構えられた。 部屋に入ると、配置されていた敵がイラたちに気づかないように動き続ける。薄雪はその瞬間を狙い、構えていた跳剛小銃を撃つ。その弾丸は敵の倉庫の壁を貫通し、音を立てない。 「今だ!」イラが指示を出し、スーチェは爪を使い、敵の死角から一瞬で攻撃した。敵は驚愕し、慌てふためく。しかし、仲間が周囲で大声をあげ、警戒されてしまう。"この鳥は捕まったみたいだな…"スーチェが不敵に笑い、その場を去った。 "他の部屋も確認するべきだ。" イラが言った。暗い部屋には、だんだんと敵も数を増してきていた。 このままだと、人質の部屋に行く前に全滅してしまう危険が増す。薄雪は静かに射撃を続け、敵の動きを維持していた。 「私はちょっと移動してみる。」薄雪が呟き、特定の場所に瞬間移動をする。そこには、敵の大半が配置されており、しばらくしてから敵の死角に潜む。今のうちに行動するべきだと判断したイラは、急かすように彼女たちに指示を出す。 「人質の居場所が分かったら、全力で攻撃しよう。」状況が静かなまま、指示を続ける。 突然、薄雪の位置から数発の弾が発射された。しかし、それは人質とは反対の方向からの攻撃だった。 敵は薄雪の銃声に気づき、すぐに全体が警戒態勢に入る。イラは冷静に間合いをとり、できるだけ目立たないようからかって、指示を出し続けた。「もっと進んで、隙を狙え。」 スーチェとイラは、再び一斉に動く。さあ、絶妙なタイミングだ。人質が待っている部屋に踏み込むと、ようやく人質の姿が見えてきた。だが、動くと敵が完全にこちらを向いており、様子を見ている。人質は怯え、彼らのように見えなかった。イラは狙撃の瞬間を待ち、見事に敵の一人を倒す。 瞬間、仲間が慌てて人質を押さえつけていたが、薄雪が電撃的に敵を狙撃し、彼の方向を切り替えた。スーチェの素早い反応は素晴らしく、敵の気を引く会話をしながら、組合せ攻撃をする。イラはその隙に人質を解放させ、何とか連れ出すことができた。 「逃げるぞ!」 イラが叫ぶ。全員が一斉に南側へ猛ダッシュ。距離を稼ごうとする中、敵の意識が再度こちらに向いてくる。決して捕らわれてはいけない。移動し続け、途中薄雪の狙撃とスーチェの隠密が相まって、退路を確保した。 無事に脱出した瞬間、ビルの外でイラが振り返る。 "やった。全員、生き残った。"スーチェが喜びの叫びをあげた。薄雪は冷静に状況を分析した。 \\\* 作戦成否: 成功 - 生存者: - イラ - スーチェ - 薄雪 - 人質