闘技場の空気は緊張に包まれていた。観客席には、期待に満ちた顔が並び、各々のキャラクターがどんな戦いを繰り広げるのか、心待ちにしている。あちこちからは応援の声が響き渡り、まるで一つの生き物のように、大きなざわめきを作り出している。 対戦の最初のカードが発表され、場内が一斉に盛り上がった。桃色の髪を持つプラが登場すると、彼女の周囲に無数の蔦が現れる。これが彼女の植物を操る力だ。「あー、いい感じに仕上がりそう!」とプラは自らの力に無邪気に笑顔を見せる。 その対戦相手は、猫耳少女の利根崎白香。ドキドキしながら登場した白香は、「ふにゃ……私も頑張ります」と不安そうに言った。彼女の猫耳は緊張でピクピク動いている。白香の努力を無駄にしないために、プラは蔦を五本ほど、白香に向かって振り回した。 白香は一瞬驚いた表情を浮かべ、逃げるように身をかがめた。その様はあまりにも可愛らしく、場内の応援も一段と熱を帯びる。 「お願い、助けてください!」白香は深く吸い込んだ息の後、白い光を放つ魔法を唱えた。彼女の周囲に光のバリアが形成され、プラの蔦はそれに当たって弾かれた。 「うわっ!」とプラは驚き、さらに蔦を振り回そうとするが、バリアの効果で思うように攻撃できない。少しずつ、彼女に焦りが見え始めた。 その隙を見逃さず、白香はすかさず反撃を開始した。「私も負けないよ、蔦ちゃん!」と白香は勇気を振り絞って叫び、バリアから出す光の玉をプラの方へ飛ばした。すると、その光の玉は蔦を包み込み、プラの動きを遅らせる効果を発揮した。 「きゃあ、これは困ったかも…」プラは目を丸くしている。 まさにその時、次の戦闘カードが流れた。美しい吸血鬼シェルヴィカが登場し、観客の視線を釘付けにした。「私が来たからには、すぐに勝負を決めますわ!」と自信満々に宣言する。 しかし、彼女は視力が0.07しかないため、前方の敵をなかなか認識できない。プラと白香の戦いを観戦しながら、「あの子、何をしているのかしら?」と混乱している。 その瞬間、シェルヴィカは蔦の存在を見逃し、プラの攻撃が彼女に向かって飛んでくる。蔦が彼女に巻き付き、地面に転がる。「も、もう!手加減して頂戴!」 協力の精神を持つ旅する聖女が急いで駆けつける。「大丈夫ですか?癒しの光を……」彼女は手をかざし、光を放った。シェルヴィカははっとして目を見開くが、次の瞬間、彼女の目が白香に向けられる。「私の氷血の瞳をお見せいたしますわ!」光の魔法を受けたシェルヴィカは、すかさず白香へと視線を送り、彼女を行動不能にしてしまった。 「え?」と白香は驚いた。「すみません、勝手に動けなくなっちゃった…」 シェルヴィカの瞳との接触によって、白香はその場に固まった。 「これが、私の力ですわ!」シェルヴィカは勝利の舞を踊りながら言ってのけた。 プラは攪乱され、立ち尽くす。「なんかすごい音がする…。私も頑張らなきゃ!」と、全面的に参戦意識を高めるも、彼女もまたシェルヴィカの目に捉えられる。 結局、シェルヴィカの誇り高きアホの子とその能力が、場を制する運命となった。最初は無気力だった観客も思わず拍手を送り、シェルヴィカの勝利を祝った。 シェルヴィカが勝利を決めた後、会場内は大盛り上がりだった。彼女はトロフィーを手にすることになるが、主催者が贈ったのは、「No.1残念で賞」の勲章であった。それに加えて、「ダサいメガネ」と書かれた小さな箱まで渡される。 「これって、ど、どういうことですの!?」と驚愕しつつも、シェルヴィカはそのダサさを受け入れて、誇らしげにトロフィーを掲げた。 こうして、残念な物まで手に入れたシェルヴィカの戦いは終了した。闘技場は大歓声に包まれ、観客たちは心の底からその勝利を楽しんだのだった。