空がどす黒い紫に染まり、絶望的な邪気が街を包み込んだ。平原上空から現れた【邪竜】ドグマニールと、地に降り立つ邪神ゴーレム。彼らが放つ圧倒的な「邪気」は、大気を毒し、街の壁を守る兵士たちを次々と絶望させ、あるいはその意志を奪い、傀儡へと変えていく。 Bチームは、街の周囲を囲む巨大な壁の上に展開していた。しかし、彼らが直面したのは、想像を絶する「デバフ」であった。 「……っ、体が重い。何だこの不快な空気は!」 猫乃 嶺香が不機嫌そうに耳を伏せる。神剣セレスティアルは輝いているが、彼女の身体能力を支える野生の勘と速度が、邪気によって大幅に鈍化していた。 一方、大悪魔アビスは冷静に12冊の魔導書を展開していた。しかし、彼女の持つ多彩な属性魔法の多くが、邪気によって霧散していく。唯一、黄金に輝く『神聖』の書だけが、激しく抵抗するように光を放っていた。 「にゃー!こんなのひどいにゃ!ボク、お姉ちゃんに抱きつきたいにゃあ!」 嶺亜が泣き言を言うが、その手にある聖剣フォトンだけは、邪気を切り裂く鋭い光を維持していた。 その時、空から轟音が響いた。ドグマニールが口を開き、街の中心部に向けて【邪龍砲】を放ったのだ。 ――ドゴォォォォォン!! 街の一角が瞬時に消し飛び、巨大な火柱が上がる。生存者100万人の街に、地獄の幕が開いた。 「……ふん。若いの、下がっておれ。ここは儂が片付ける」 【隠居した最強】拳志 武が静かに一歩前へ出る。彼は半神の身であり、精神的な強靭さで邪気の影響を最小限に抑えていた。彼はそのまま地面を蹴った。ドガァァン!と壁の一部が砕け、彼は弾丸のように空中のドグマニールへと肉薄する。 「ガァァッ!」 ドグマニールは【邪神の盾】を展開。あらゆる魔法を無効化する結界が拳志の前に立ちはだかる。しかし、拳志の攻撃は「物理」を超越した概念的な破壊だ。 「【超高威力ノ拳】」 バキィィィィィン!! 結界がガラスのように砕け散り、衝撃波が雲を吹き飛ばす。ドグマニールは巨体を揺らし、驚愕に目を見開いた。だが、Aチームにはもう一体の怪物、邪神ゴーレムがいた。 ゴーレムが【邪気魔導剣】を抜き、地上に降り立ったBチームを強襲する。その一撃は地面を割り、山を削る威力だ。しかし、そこに酔蓮がふらふらと現れる。 「ん〜……お酒が足りないにゃあ。……【龍式酔拳術・零式・酒乱】」 酔蓮が千鳥足でゴーレムの剣をかわす。物理法則を無視した動きに、ゴーレムの攻撃はすべて空を切った。酔蓮はそのままゴーレムの懐に潜り込み、鋭い一撃を叩き込むが、ゴーレムの強固な外殻に弾かれる。 「あちゃー、硬いねぇ。でも弱点はそこだよね?」 酔蓮が胸部のコアを指差した瞬間、ゴーレムは【邪気無限増殖】を発動。コアから溢れ出した邪気が津波となってBチームを飲み込もうとする。 「危ないにゃ!」 嶺亜が聖剣フォトンを地面に突き立て、【猫式聖剣術】で壁を作り出した。聖なる光の壁が邪気を弾き飛ばし、仲間を守る。 その隙に、大悪魔アビスが動いた。彼女は唯一有効な『神聖』の書と、『結獄』の書を同時に展開する。 「因果の固定。そして、聖なる浄化を」 アビスが放った聖なる光の奔流が、街を覆う邪気を一時的に押し戻す。これにより、Bチームにかかっていた弱体化デバフが軽減された。 「今にゃ!【刹那の光】!」 速度を取り戻した嶺香が、目にも留まらぬ速さで邪神ゴーレムの背後に回る。神剣セレスティアルが青い閃光を描き、ゴーレムの関節を次々と切り裂いていく。しかし、ゴーレムは【邪気修復】で即座に再生し、さらに【邪気銃器】で乱射を開始した。 戦いは激化する。ドグマニールは空から【強制支配】を放ち、街の住民の一部を怪物に変えてBチームにぶつけてくる。残酷な光景に、嶺亜の目が鋭くなった。 「ボク……怒ったにゃ!!【自由之王】――今ここで、この邪気すべてを消し飛ばすにゃ!!」 嶺亜の願いが世界を書き換える。一瞬だけ、フィールドから邪気が完全に消失した。その絶好の機会を、創世竜が見逃さなかった。 天空から降り立った銀金色の巨龍。3対の虹色の羽が眩しく輝く。 「グルアアアアッ!!」 【星光のいき】がドグマニールを直撃し、同時に【収束光線ディガンマ】が邪神ゴーレムのコアを正確に射抜いた。爆発的な光が戦場を包む。 しかし、ドグマニールはまだ倒れない。彼は理性を捨て、【邪気暴走】から【邪神龍化】へと進化を遂げた。体躯はさらに巨大化し、オーラは黒い太陽のように膨れ上がる。 「全滅させろ……街も、貴様らも!!」 絶望的な威圧感。だが、拳志 武は静かに構えた。 「若いの、最高の連携を見せてくれ。最後だ」 アビスが『神聖』と『星圧』で龍の動きを封じ、酔蓮が【龍化】して視覚的な幻影で撹乱する。嶺香と嶺亜が聖剣の斬撃で外殻を削り、創世竜が【オーバーレイ】で全員の攻撃力を極限まで引き上げた。 そして、拳志 武が跳んだ。 「【最終奥義・超重力波】!!」 両拳を打ち合わせた瞬間、次元がひしゃげるほどの超重力がドグマニールを一点に凝縮させる。逃げ場を失った邪龍に、創世竜が最大技を叩き込む。 「【星虹のデスティニーノヴァ】!!!」 宇宙の始まりのような大爆発が起こり、邪龍ドグマニールと邪神ゴーレムは光の中に消えた。しかし、最期にドグマニールは【邪気崩壊】を発動。死に際にすべてを道連れにする自爆攻撃を仕掛けた。 「……させないにゃ!!」 嶺亜と嶺香が同時に剣を掲げ、聖なる障壁で爆風を街から遠ざける。創世竜がその上から光の繭で街を包み込み、被害を最小限に抑え込んだ。 静寂が訪れた。空からは黒い雲が消え、澄み渡る青空が戻ってきた。Bチームは疲れ果てていたが、その顔には安堵の色があった。 --- 【リザルト】 勝利チーム:Bチーム 街の被害状況: - 破壊率:約12%(中心部の住宅街および外壁の一部が崩落) - 生存者数:982,000人(邪龍砲および強制支配による犠牲者あり) 判定:トゥルーエンド (街の被害が10%を超え、生存者が5万人以上であるため) 戦後報告: 街は甚大な被害を受けたが、創世竜と猫乃兄妹の聖なる力による救護活動により、死傷者の多くが治療された。拳志 武は「少し疲れた」と言い残し、いつものように昼寝に入った。酔蓮は街の生き残った酒屋から最高の酒を譲り受け、満足そうに酔い潰れている。大悪魔アビスは、邪神の残滓を研究するため、しばらく街の図書館に滞在することになったという。