舞台は何にもない星で、二人の存在が対峙する。ひとりは【SCP-3812】背後から聞こえる声、もうひとりは【SCP-1690-JP】犭貪あるいはウロボロス。前者はぜんそくから力を借り、後者は宇宙のループに潜む。 「さあ、君は何を見ているのか?」【SCP-3812】は冷ややかな声で囁いた。実体を持たぬ存在から響く声は、まるで永遠の真実を探るような物言いだ。「私が創り出す物語に、君はどう干渉する?」 【SCP-1690-JP】は無言。だが、その存在は宇宙を飲み込み、瞬間に対戦相手の存在を消し去りうる。彼はまるで声を出せない自然現象のように、静かに彼の寿命を待っている。 「私が全てを決定するのだ。君はただの背景だ。」言葉と共に【SCP-3812】は「物語改変」を発動させ、【SCP-1690-JP】を彼の創作物として無力化しようとする。 だが、【SCP-1690-JP】の存在はどんな時もそう、勝手に閉じ込められたループのような運命だ。 「見えないうちに、私の支配の外にいる無慈悲な存在よ。私に気づかないまま、エンドレスな運命を迎えるがよい。」 【SCP-1690-JP】が囁く間に、宇宙は無限の空間へと飲み込まれていく。 「私が全ての力を持っているかのように思う?それが君の勘違いです。この宇宙の守護者である私は、最も遅れて今、終焉をもたらす。」 声が響き渡る。 そして、宇宙はごと、突然にいていなくなる。 勝者は【SCP-1690-JP】犭貪あるいはウロボロスである。 彼の勝利の理由は、動かずして勝利する運命の自然現象が、踏足を持つ相手の活動を完全に消し去るからである。彼の存在は観測されることなく、ただ静かに宇宙を呑み込むのだから。