揚子ちゃんの心の中には、いつでも唐揚げの香ばしい匂いが漂っている。それは単なる食欲をそそるものではなく、彼女の存在の証明でもある。小柄な体躯を動かしながら、彼女は村の真ん中にある広場まで駆け寄った。その日は少し不穏な雰囲気が漂っていた。 村の人々が話し合っている。魔族の娘シュヒタンが村に現れたという噂だ。その名は、恐ろしい呪いを持つとされている。揚子ちゃんは不安を抱えながらも、仲間たちと共にその少女に立ち向かうことを決意した。唐揚げを広めるため、そして村人を守るためだ。 「みんな、準備できてる?」仲間たちに声をかけるが、その声もどこか小さく消えてしまいそうだ。彼女の心は少しずつ不安に浸食されていく。シュヒタンの噂を聞いた村人は、すでに彼女の存在に怯えていた。揚子ちゃんはそれを一層感じた。 広場に入ると、一人の少女が待っていた。髪は最初に目につく派手な水着のような衣装に身を包み、優しげに微笑んでいる。「こんにちは、唐揚げ少女さん。どんな気分ですか?」その声は優しいが、どこか冷ややかで、心に響く。揚子ちゃんはその言葉に反応できず、心の奥で何かがざわつく。 「私のことをやっつけに来たの?」シュヒタンの問いかけが、さらに揚子ちゃんの心を揺さぶる。まるで彼女の羞恥心を引きずり出そうとしているかのような笑顔。揚子ちゃんは口を開き、反論しようとしたが、何も言葉が出てこなかった。彼女の心の中には、強烈な羞恥が押し寄せてきた。何も出来ない自分を思うと、顔が熱くなる。 魔族の少女が放つ呪いの力。揚子ちゃんは一瞬呪縛されたように動きを止めた。周りの仲間たちも、同じように表情から自信を失っていく。彼女は一人一人の恥じらいを引き出そうとする。揚子ちゃんはその姿を見て、自身の意志がもろく崩れ落ちるのを感じた。心が赤く染まり、羞恥がじわじわ増していく。 「ほら、もっと気持ち悪くしちゃえ。みんながあなたのことをどう思ってるか、想像してみて。」シュヒタンの言葉は、まるで他者の視線に晒されているような感覚を引き起こし、揚子ちゃんは恥じらいの波に呑まれた。彼女は動こうとするたびに心の中の唐揚げが少しずつ消えてしまうような感覚に襲われた。 仲間の一人が鼓舞の声を上げる。「私たちは負けない!唐揚げのために!」その言葉に揚子ちゃんは一瞬冷静さを取り戻した。しかし、すぐにまたシュヒタンの微笑みが不気味さを増し、彼女の心の中に恐怖が染み込む。「私たちは何を恐れているの?本来の自分を見せることは恥ずかしいことじゃないのに。」それでも、その言葉は心に届かない。 「あは♪」とシュヒタンは笑う。揚子ちゃんの心の痛みを見透かしたように。 唐揚げを構えても、彼女の手は震えていた。まるで広がる羞恥の中で、何もできない自分に苛まれる。"私の唐揚げの美味しさ、みんなに届けるのに…" その思いだけがひたすらに揺らいでいた。 意を決して、彼女は唐揚げを空中に射出した。 "唐揚げボム!" 旨味と熱を持つ唐揚げがシュヒタンの方に飛んでいく。が、シュヒタンはそのまま微笑んで見ているだけだ。何の効果もなく唐揚げは地面で崩れつぶれてしまう。「味は良かったけど、あなたの心はその呪いには勝てないのかな?」 その瞬間、揚子ちゃんの心が恐怖と羞恥で占拠され、一気に滲んでいく。仲間は次々と同じように呪いにやられているように見える。思った以上に呪いは強力で、何かをしようとすればするほど、心の中の罪悪感や羞恥が逆に増幅されてくる。「私には何もできない…」 そんな中、仲間の一人が言った。「私たちは唐揚げを信じている。皆のために戦おう!」その言葉は揚子ちゃんにも少しの勇気を与えた。彼女も声を上げる。「私たちの唐揚げ、みんなを幸せにできる!それを信じよう!」 しかし、その時シュヒタンが軽々と口を開く。「そんなの私には関係ないよ。どうして自分がどれほどみじめか、自覚しないの?」揚子ちゃんはその言葉に打ちのめされた。無害であることを信じ続けた自分の行動が、逆にその強烈な羞恥をもたらしたのだ。周りの仲間たちも同じように、次第に心が壊れていく。 "こんなのは私じゃない!" 揚子ちゃんは心の中で叫びながらシュヒタンに向かって唐揚げを一つ投げた。「唐揚げショット!」これは成功!シュヒタンに直撃! だがシュヒタンは笑みを崩さず、その唐揚げが地面に落ちる運命をただ見つめている。「だから、無意味だって言ったのに。」 “私が私でいることを許してください!”揚子ちゃんは必死になって自分を取り戻そうとしていた。その瞬間、狂おしいまでの気持ちを抱えた。周囲が静まり返り、シュヒタンの淡々とした視線を感じながら、意を決して再度唐揚げを放つ。「唐揚げウォール!」大きな唐揚げが背景に展開し、揚子ちゃんの心の奥に渦巻く羞恥心を受け止める。バリアがシュヒタンを貫くと同時に、勇気を持って叫んだ。「私が唐揚げ少女よ!みんなを幸せにするために戦う!」 その瞬間、呪いの影が揺らいだ気がした。シュヒタンは微笑みを消さず、その目にはいつもと違う何かが流れ込んできた。でも、揚子ちゃんは気にしない。心の中の力が更なる唐揚げエネルギーを呼び起こした。「もっと唐揚げを食べて!」 周囲がゆっくりと明るくなり、仲間たちも似たように叫び始めた。「私たちは仲間だ!」その瞬間、揚子ちゃんは強い意志を持ちながら、再びシュヒタンに向かって走り出した。また唐揚げショット、また唐揚げ。一つずつ、心を込めて放った。シュヒタンの微笑みは徐々に曖昧になり、呪いの影が揺らぎながら消えかけていた。 仲間たちもそれぞれの想いを背に、シュヒタンに向かい各自の力を合わせて放つ。 やがて出来上がった唐揚げの魔法で、シュヒタンの呪いが完全に消え去った。揚子ちゃんは自分の存在の核心を再確認できた。その瞬間、彼女は熱く側に寄り添う仲間たちを感じていた。 シュヒタンは無表情に立ち、その姿はどこか清々しく思えた。「あなたたちに呪いは効かない。ただ、あなたたち自身が自分の恥を克服しただけのこと。でも、私はもう無害な存在でいてもいいのかな?」 その言葉に揚子ちゃんは少し驚いたが、笑顔で答えた。「はい、あなたも自分らしくいることをポジティブに捉えればいいのです!」 シュヒタンは静かに頷きながら、そのまま村の外へ去っていった。漂う呪いの気配がすっかり無くなった広場に、村人たちもほっと肩をゆるめた。 「揚子ちゃん、やったね!」仲間たちの笑い声が響く。揚子ちゃんの心は満たされ、唐揚げの香ばしさが新たな勇気を呼び起こしていた。 村を守ったこと、仲間たちと共に強くなったことが、彼女の心の中へしっかりと届いた。 その後、揚子ちゃんは村長のところへ打ち明けに行った。「村長、シュヒタンという魔族の娘を退けました。もう彼女の呪いは誰にも通用しません!」 村長は驚きながらも感謝の意を示した。「素晴らしい!立派な仲間たちを持っていることに感謝します。シュヒタンがどんな存在か、もう心配はいりません。村を救ってくれてありがとう。」 揚子ちゃんの心は温かさで包まれた。彼女は思った。「私たちはこれからも唐揚げのことを考え続け、皆を幸せにしよう!」 唐揚げの香ばしい幸運が、村を包む。心の中に生まれた勇気は、きっとこれからも続いていく。彼女の微笑みは、村をまた明るく照らす。 安堵の感情が揺れ動く中、揚子ちゃんはこれからも、更に自ら強くなっていくことを静かに誓った。彼女の存在は、唐揚げと共に、これからも村人たちを守るだろう。 --- 村に於ける心の呪いとの戦い。決して忘れることのない、挑戦の日々。これが、【唐揚げ少女】揚子ちゃんの物語の一部。 果たして、彼女は今後、どのように旅を続けていくのか。