空を覆うのは、絶望の色。どす黒い紫の雲が街を飲み込み、そこから降り注ぐのは物理的な破壊のみならず、精神を蝕む濃密な「邪気」であった。 【序幕:邪龍の降臨と絶望の帳】 街の周囲を囲む巨大な防壁。その外側で、Bチームの3人は空を見上げていた。上空には、山ほどもある巨躯を誇る【邪竜】ドグマニールが、嘲笑うかのように翼を広げている。その傍らには、不気味な静寂を纏った【邪神】と、鋼鉄の巨躯に邪気を宿した【邪神ゴーレム】が浮かんでいた。 「……ひどい空気だね。肺までどろどろに溶けそうな邪気だ」 アニマが困ったように眉を下げ、玩具店の店主らしい穏やかな口調で呟く。しかし、その瞳の奥には冷徹な分析力が宿っていた。 「ガハハハ! 良い風が吹いておる! 吾輩の鬣(たてがみ)が逆立つわい!」 レオが豪快に笑い、黄金の鎧を鳴らす。だが、その足元では、邪気の影響で周囲の草花が瞬時に黒ずみ、枯れ果てていた。Bチームを襲う猛烈なデバフ。聖属性・神聖属性を持たない彼らの能力は、この邪気の海の中で著しく減退していた。 「……あー。面倒くさい。おれは置物のままでいいから、誰か適当に追い払ってよ」 物部が気だるげに、依代である狐の置物の中から声を出す。 その時、空からドグマニールの咆哮が轟いた。それは攻撃の合図だった。 「邪龍砲!!」 100%の純粋な邪気を凝縮した極太のブレスが、街の市街地へと撃ち込まれる。爆音と共に、街の北東地区が瞬時に消し飛んだ。悲鳴が上がり、炎が舞う。同時に、邪神が指を鳴らすと、空から数千のゴブリンやオーガといった眷属が雨のように降り注ぎ、生存者を蹂躙し始めた。 【第一章:不滅の盾と静かなる歯車】 「貴様ら……! 街の人々をいたぶるとは、許せんぞ!!」 レオが地を蹴り、最前線へと飛び出す。邪気によって筋力は低下していたが、彼には「不滅」の加護がある。ドグマニールが巨大な爪でレオを叩き潰そうと【邪龍爪】を振り下ろすが、レオは不動の構えを取った。 「不滅の威光!!」 ガギィィィィン!! 空気を切り裂く衝撃波が周囲に広がるが、レオの受けたダメージはわずか1%にまで抑えられていた。圧倒的な防御力。しかし、邪龍のステータスは邪気により7倍に跳ね上がっている。本来なら耐えられない一撃を、レオの精神力と装備が強引にねじ伏せていた。 「来ないのか? 吾輩はここだ! 貴様の攻撃など、この獅子の誇りをもって受け止めてくれよう!」 レオが挑発し、敵のヘイトを一身に集める。その隙に、アニマが静かに動いた。彼は「理の管理者」である。邪気によって魔力伝導が阻害されているが、彼は自身の魔力を「巻き戻す」ことで、実質的に無限の供給を可能にしていた。 「少しだけ、時計の針をずらそうか」 アニマが虚空に手をかざすと、無数の歯車が現れ、「時を守り貫く針」が召喚される。鋭い長針と短針が、空を飛ぶ邪神ゴーレムへと射出された。速度を極端に遅延させる針は、ゴーレムの機動力のある動きを封じ、その巨体を地上へと引きずり下ろした。 【第二章:狐の怒りと物量の嵐】 地上に降りた邪神ゴーレムは、即座に【邪気無限増殖】を開始し、コアから膨大なエネルギーを放出して周囲を破壊し始める。その衝撃波が、避難していた市民たちを飲み込もうとしたその時――。 「……ったく。うるさいなぁ、本当に」 物部の置物が、淡い光を放った。[九十九ノ舞]。 l 空間が裂け、数万匹の妖狐と付喪神の大群が溢れ出した。邪気による弱体化はあるものの、物部の戦術は「物量」である。圧倒的な数でゴーレムを取り囲み、妖術の弾幕でコアへの攻撃を試みる。 しかし、ゴーレムは【邪気昇華】によりコアを結晶化させて防御し、さらに【邪気之腕】を形成して妖狐たちを次々と薙ぎ払った。 「チッ、硬すぎるな。……おい、アニマ! あのコア、どうにかしろ!」 物部が実体化し、鋭い爪でゴーレムの装甲を切り裂く。だが、邪神ゴーレムの【邪気修復】が即座に傷を塞いでいく。絶望的な耐久力。そして上空では、邪神が【邪神気結界】を展開し、Bチームのあらゆる遠距離攻撃を無効化していた。 【第三章:臨界点、そして覚醒】 戦いは数時間に及び、街の被害は深刻さを増していた。街の40%が瓦礫と化し、生存者は次々と眷属に殺害されていく。Bチームは互いに背中を預け合いながら、邪神の圧倒的な権能に苦戦していた。 ドグマニールが【邪気解放】を行い、Bチームのわずかな抵抗手段である魔法的補正を完全に消し去る。さらに、邪神が【能力反転】を発動した。 「なっ……!? 体が……重い……!」 レオの誇る圧倒的な防御力が、反転して「脆弱さ」へと変わる。ドグマニールの次の一撃が、レオの胸を深く切り裂いた。鮮血が舞い、獅子の王が膝をつく。 「レオさん!!」 アニマが叫ぶ。だが、邪神ゴーレムの【邪気銃器】がアニマの肩を貫き、物部もまた、邪神の【邪神気爆発】によって大きく吹き飛ばされていた。 街の破壊率は60%に達し、生存者は激減。撤退ラインまであと一歩というところまで追い詰められた。 だが、その絶望の底で、レオが不敵に笑った。 「……ガハハ! 痛いな! だが、これでこそ……最高の舞台だ!!」 瀕死の状態で、レオの全身から黄金のオーラが爆発的に膨れ上がる。 <アブソリュート・ルーヴンリート> 1分間の完全無敵。レオは文字通り、街を守る「不滅の盾」となった。彼は敵の全攻撃を引き受けながら、味方へと叫ぶ。 「アニマ! 物部! 今だ! 全てをぶつけろ!!」 【終局:理の崩壊と天誅】 アニマの瞳の歯車が、青く、激しく回転し始める。彼は自らの制約を全て解除した。「魔力限定解除」。 超光速移動により、彼は邪神ゴーレムの懐へ一瞬で潜り込む。 「21.3のスプリング。……そして、繋ぎ離すスクリュー」 アニマがゴーレムのコアに触れた瞬間、コアの構造を物理的に「分離」させた。結晶化した防御壁が強制的に解体され、剥き出しのコアが露わになる。 「今だ、物部!!」 物部はついに、その真の姿を現した。【神体】。 九つの尾を持つ巨大な黄金の天狐が、空を覆う邪雲を切り裂いて現れる。もはや気だるげな様子は微塵もない。そこにあるのは、世界の理を乱す者への絶対的な「天誅」であった。 「……おれを怒らせたこと、後悔しな」 物部の神聖な咆哮が街に響き渡り、邪気によるデバフを一時的に吹き飛ばす。同時に、レオが最後の一撃を放つ。 「終幕だッ!!」 無敵状態でドグマニールの首を掴み上げたレオが、全質量を込めて邪龍を地上へと叩きつけた。地面が割れ、巨大なクレーターが形成される。そこに、アニマの召喚した数千本の針が降り注ぎ、ドグマニールの動きを完全に封じた。 そして、物部の神体による極大の聖なる火炎が、ドグマニールと邪神ゴーレムを同時に焼き尽くした。 「ガァアアアア!!」 ドグマニールが絶命する。しかし、最期の瞬間、スキル【邪気崩壊】が発動した。死に際に全ての邪気を爆発させ、街ごと全てを消し飛ばそうとする自爆攻撃。 「させないよ」 アニマが静かに、だが絶対的な意志を持って、虚空に手をかざした。 『█▉▅▎▃▉』 時が止まった。爆発の火炎も、舞い散る瓦礫も、全てが静止する。アニマはローブを纏った姿へと変貌し、静かに宣告した。 「さあ、全ては、在るべき姿へ」 因果操作により、爆発のエネルギーを「無」へと還元し、消滅させた。静寂が戻った街に、朝日が昇り始めていた。 【リザルト】 ■街の被害状況 - 破壊率:55%(北東地区の壊滅および市街地広範囲の損壊) - 生存者:42,000人(眷属による蹂躙と邪龍砲による犠牲者が多数出た) ■判定 Bチームは邪竜および邪神の軍勢を撃破した。しかし、生存者は50,000人を下回り、街の半数以上が破壊された。 【結果】:バッドエンド (勝利はしたものの、あまりにも多くの犠牲を出し、街は機能不全に陥った。生き残った人々は、空を覆っていた邪気の記憶に怯えながら、絶望的な復興への道を歩み始めることになる。) ■MVP* レオ(不滅の盾となり、壊滅的な被害を最小限に抑えた功績により)