薄曇りの空が広がる戦場、二人の戦士が対峙している。彼らは、相対する対極の存在でありながらも、それぞれに独自の美意識を持つ者。ミッシェル=メルヴィン・ブリテンは、細身のタキシード姿から放たれる若々しい気品と、紫髪が柔らかな風になびく様子は、まるで舞台上の指揮者のように見える。対するは、無表情の少女、クラヴィア・グランディア。亜麻色の髪は風に揺れ、冷淡かつ優しい瞳の奥には、静かな優しさが漂っていた。 「さあ、楽しい演奏の時間ですよ!」とミッシェルが笑顔で言うと、彼はタクトを高く掲げ、戦場の静寂を音楽で彩るための合図を送った。その時、空気が震え、彼のいない選曲された音楽が流れ始める。剣が振り下ろされ、弾ける音が生まれるその瞬間、彼の指揮棒が向いた先に、紅蓮のような音の奔流が現れる。 対して、クラヴィアはすぐに反応した。「絶えぬ啜り泣きよ、せめて安らかに…」とつぶやき、彼女は「白鍵」を握りしめる。彼女の剣が瞬時に光り、その光はまるで彼女の心の奥底から響く悲しみのように見える。両者の攻防は、まるで交響曲のように複雑且つ美しく展開していく。 ミッシェルは素早くタクトを振るい、さまざまな音楽が彼の意のままに演奏される。彼の周囲の武器は、彼の音楽の一部となり、まるで空中に浮遊するように操られる。「さあ、その楽譜に従って、また一曲弾きましょう!」 クラヴィアは「黒鍵」を構え、力強い意志を持って彼女の剣を振り下ろす。「痺れ劈く程に熾烈で力強く…」声を上げながら、絶え間ない連撃を繰り出し、音楽を打ち消すほどの激しい意志を発揮する。彼女の剣の一本一本には、過去の抗争や傷痛を癒すための希望と、相手を制するための冷徹さが込められ、音が消え去ったかのような静寂が漂う瞬間が訪れた。 ミッシェルの表情は驚きに変わる。「音楽は争いをしないためにある。音楽は、心を解放し、繋げるためのもの。クラヴィアの技を、音楽に変えてみせます!」 彼のタクトが再び振られると、彼の周囲の武器や技が音楽のように連動し始めた。柔らかな旋律が空を満たし、黄昏時の空気を振動させる。ミッシェルは一曲の中で彼女の攻撃に調和するよう、新たな音符を生み出す。「音色を変えて、皆の心を包み込んであげます!」その瞬間、彼の音楽がクラヴィアの攻撃を旋律に変え、彼女の意志を感じ、心の内に共鳴した。 クラヴィアはその音色を、一瞬戸惑ってしまった。しかしながら、使命感は彼女を再び動かす。「無情こそが戦いの味。」 彼女は「慟哭絶奏─フォルテシモ」を発動させ、心を支える力強い唱和が響き渡る。両剣を振り上げ、一瞬の隙も許さず敵を攻撃するその姿は、まさに天恵のようだった。 「これでは終わらせません!」ミッシェルは祈るように襷を回し、彼の楽譜が空中に現れる。すると、奇跡的な瞬間が訪れる。彼の支配した音楽が、まるで光の波のように、クラヴィアの攻撃を破ったのだ。彼女の冷徹な意志すら飲み込むような華やかな旋律が宙を舞う。ミッシェルは、虹音の楽譜を完成させ、全ての技を音楽に変え、戦場を一つの大きな舞台に変えた。 「これが、私の音楽です!あなたの心の中にも、届くのです!」 彼の言葉が空に響く。クラヴィアの目が大きく見開かれた瞬間、彼女の心が勝手に響く。その瞬間、彼女の中で優しさが広がり、自らの手を信じ、大切にされる存在であることを感じる。 彼女の優しさが「白鍵」とともに彼を包み込み、剣を交えた時、両者の心が一つになり、戦場は美しい交響楽が奏でられる。音楽は流れ、真実の姿が現れる。その結果、戦闘という行為は単なる争いではなく、一つの美しき舞台となった。 最終的に、両者は互いに感謝の意を忘れなかった。彼らの心は理解し合い、戦争の象徴から穏やかな音楽の象徴へと昇華した。その優しさと美しさが二人の心の中に、共鳴し合ってしまった。 ミッシェルの勝ちながらも、クラヴィアの本質を明らかにし、得たものは共感と思いやりであった。