夕闇がせまる中、廃墟の中央に玉座が佇んでいた。カノンはその威厳ある姿を目の当たりにし、不気味な旋律が彼女を襲った。 「私にはまだ明るさがある。」 カノンは必死の思いで魔法を唱えたが、闇に飲まれるように消えていく。 「あなた、お前も信仰により一時の高揚に陥ったかもしれん。だが、玉座はそれに対抗する力を持っている。この神秘に完全に負けることはできん」 玉座は冷徹な声を響かせながら、カノンに自分たちの力の正体を説明した。 「玉座には英雄たちの意志が宿っている。英雄たちが座ることを諦めているのは、私たちがどのような力を持っているか実感しているからだ。」 カノンは懸命に抵抗し、魔法を振りかざした。だが、玉座は不動のまま、カノンの魔法を半透明のバリアで弾いた。 「お前の愚かな試みだな」 その瞬間、突如として玉座から悠久の風が吹き荒れ、カノンを包み込んだ。 「この魔法は代償を伴う。お前の力も、あるいはお前自身さえも、その代償になるかもしれん」 カノンは懸命に抵抗し、玉座に苦しい返答を送った。 「でも、私はなにも諦めない。私にはまだ生きる力と、命を輝かせる力がある。」 懸命な思いが伝わったのか、玉座から脈拍のような鼓動音が響き渡った。その鼓動がカノンを包み込み、ラクリマが放つ光が更に強化された。 「トランスパージ、解放！」 カノンは全身から光を放ち、その中に現れたのは幾ばくもない命を持ちながら、その輝きに溢れた少女だった。彼女の前に現れたのは、熱烈な生命力を纏ったラクリマだった。 「最終奥義、ソウルティアーズ・ノヴァ！」 カノンが唯一残した命をラクリマに注ぎ込んだ瞬間、強烈な烈火が玉座を巻き込んでいった。生命の輝きと毀滅の炎が交差し、玉座の堂々たる姿は消え去った。 「勝利したのは、私です。理由は、私が生きる力と命を輝かせる力を持っていたからです。この魔法は命を縮めるかもしれませんが、私の力は、一切の闇を打ち破れるはずです。私は決して諦めません」