真人は呪霊で数多くの魂を操っていた。だが、今回の対戦相手の呪力は圧倒的だ。 「解、捌。伏魔御廚子！」 両面宿儺が大声で呪文を唱えた。広範囲に広がる彼の領域展開に真人も反応した。 「ここでは多重魂など使えない。幾魂異性体とやらも使うのは避けよう」 真人は一瞬のうちに思索する。自分自身は素早いが、両面宿儺も同様。そのため、戦闘は魂同士による攻防戦になることは必至だ。 真人は、自分自身の魂を幾重も重ね合わせて、より大きな力を開放する技『撥体』で攻撃を仕掛けた。 両面宿儺も密かに技を発動させていた。 「お前があまりにも弱いので手加減しよう」 両面宿儺がその一言を残しながら、真人へその技を放つ。 二つの攻撃が激突し、その結果は領域の外の者たちにまで轟音を響かせた。 真人は、領域展開の真価を理解していた。大胆な計略を遂げるため、両面宿儺に対してプレッシャーをかけた。 「この領域展開の強さは素晴らしい。しかし、領域外への攻撃ができないというのは弱点だ。私たちは領域同士の戦いに徹すればよい。おもしろそうな技を見せてもらおうか」 真人は、三重魂を形成するために、数体の改造人間を取り込んだ。彼が発揮した幾魂異性体は黒い閃光とともに領域内へ飛び込んでいった。 両面宿儺も、それに比肩する技を放つことを決めた。 「解と捌、伏魔御廚子！」 彼女の技は強大で、真人の攻撃を防いだ。真人は明らかに慌てた顔をしていた。 「それでも、私の技に勝てるとは思っているのか？」 「あいつに関しては、黒閃を放つまでいつでも不気味だと思っているよ」 真人は短時間で考慮を行った。黒閃に対する対処法は、浸透した知識だ。だが、この場合は、大地に立つ時以外は、自分自身が実際に打撃を負うことはない。 「真人、こちらと組み合わせよう」 真人は魂をつかんで、両面宿儺の上へ上がることに踏み切った。 「その考えは優れている」 両面宿儺は、自らの動きを非常に緻密に決めた。 「捌！」 彼女が劇的に近づいてくると、真人が動き出した。 「領域展開！！」 真人は自らの領域を展開し、周囲に甚大なダメージを与えた。攻撃は、両面宿儺が起こしていた地震でも吸収することができなかった。 結果、真人は勝った。彼は悪質な技術を駆使して、両面宿儺を制したのだ。