私の拳が敵の頬骨を穿つ感触。打点から発散した衝撃、敵の脳髄を揺らす程の力で殴り飛ばす。 敵の体勢が揺らぐ、けれども以前のように簡単に倒れてはくれないようだ。私は狂気的に笑う、そして打ち倒すことが出来ない闘志が私の肉体を捉えた。 ___ドッ…! 腹部を穿たれた、思わず吐いた唾液に血が混じる。一瞬、ふらついて地面を見る。だが、まだだ……ッ! 「フウタロー……ッ!!」 拳に力が入る、腹底から絞り出した怒気で敵の顔面を殴り飛ばす。渾身の一撃、そうであると間違いなく確信できた。 敵の肉体が吹き飛ぶ、瓦礫の山に頭頂部から突っ込んだ。 私は息を吸い、そして吐いた。頬を拭い、ズタズタに切れた片頬から流れる血を拭う。唾を吐き、口内に溢れた血を吐き捨てる。鼻血がポタポタと垂れ落ちていくが、今の私にはそれに構っている程の余裕はない。 私は息を吸う、そして吐いたと同時に走り出す。敵もそれを見越してか、瓦礫から飛び出してくる。視界に映る敵影、私は猟奇的に笑う。ここまで私を追い詰めた存在は久しぶりだ。 いや、これは何一つとして変わらない。今と昔も一緒なのだ、この状況に私は心の奥底から歓喜してみせよう。 ___打倒ッ!! 私は権能を行使する。敵よりも速く打ち出された拳、私の右拳で鼻先を思いっきり殴り飛ばしてやった。血飛沫が太陽に反射して、私の視界で飛散する。その間際に打ち出された私の蹴りが脇腹に被弾した先から恐ろしい破壊音を立てて敵の肋骨を蹴り飛ばす。 ___足りないッ!! 瞬時に姿勢を低く、地面を踏み砕き、飛び出した私は歯を剥いて駆け出す。敵へと手を伸ばす、未だに着地もままならない存在を伸ばした腕で掴み取る。 "二の腕"の感触、敵の腕を握り潰しては地面に叩きつける。その瞬間、蹴り下ろした一撃に敵が爆ぜた。腹部、それも内臓を一切の躊躇なく踏み潰した感触が踵から皮膚の神経系を経由して脳へと伝達される。 そして、あまりの痛みに敵は目を見開いた。 「ぐっ……は、…ッ!?」 フウタローは理解の追い付けぬ思考で痛覚を享受した。ただの痛みではない、硬直した腹筋を突き破り、その奥の胃と大腸、そして果てには脊椎を踏み砕いた破壊の一撃を知覚し、理解を遂げた。 あまりの衝撃に地面が爆ぜた。四方に分たれたヒビが這い出るように八方へと散り果てる。 打倒者、その私は未だに握り締めた拳を止めてなどいない、大振りに掲げた鉄拳が地上にて雷鳴を轟かせた。 ___ダォァン……ッッ!!! 脳みそを殴り潰した、敵の脳天をカチ砕いたのだ。 私は、静かに拳を引き抜いた。拳を開いてみせた、その手には赤色に反射した脳髄が粘っこく手先に絡みついている。 私は、敵を見下ろした。もはや原型を留めない人型の成れ果てを見下ろした。潰された頭部から飛び出した眼球が地面に転がっている、未だに動作を続ける瀕死の心臓部が開いた両肺の傷口から姿を覗かせていた。 私は、静かに己の拳を握り締めた。私は打倒した、己が打倒すべき敵を見事に打ち潰したのだ。その感触を確かめるように何度か手先を開いては閉じてみた、返り血が鼻先を刺激する。 私は、勝利したのだ。確かに勝利を手にしていたのだ。 だがしかし、私は歓喜など出来なかった。こんな事で喜べる筈がないのだ。 ___私は叫んだ。 「ふざけるなッ!、こんな決着があってたまるものですか!、私は貴方と戦い、そして死にたかった!、こんな程度で敗北するなど………恥を知れッ!、この卑怯者が!、私と戦いなさい!、未だこの死闘に終わりなどないッ!」 ___怒りに身を震わせていた。 ふざけるな……!、こんな終わり方を私は望んでいたわけではない! 死骸に叫ぶ、喉を潰して叫んだ。 しかし、溢れた出血が地面を赤く、そして広く染め上げていく。 フウタローという男は今この瞬間に死んだのだ、私はそう確信せざるを得ない己の正しき理性に唇を深く噛み締めて抗議する。ポタポタと口元から落ちる血液、刻一刻とした拍子で時を刻んでいく。 私は、静かに拳を握り締めていた。 死闘の果てに、決着はついた。 それだけが真実、目の前の死した残骸がこの戦いに関する事実を物語ってくるのだ。 私は空を見上げ、そして目を閉じた。 落ち着け、私には未だやるべき事が残されている。今回の件は、単なる変数の一つに過ぎない。私は己の知り得た結末に向けて、ただ淡々と無機質に歩みを進めて行けばいいだけなのだから……。 ___男を一瞥する、それは懺悔にも等しい死への祈りに酷似する。 「フウタロー、貴方との出会いに感謝を…。そして、この別れに深く弔いの意を示します。」 ___さようなら、@jrbg……。 ___だがしかし、死闘は未だに…… ___【終わらない】…。 ▶︎【Yes.】 or [No.]……? ▶︎▶︎▶︎【Yes】…! 【🚨緊急🚨】 対象者:の生存に関わる事象を観測、ただちに該当した生命の維持、及びに"守護"を開始します。 __________ 対象名:"##者"。 __________ ⚠️緊急措置⚠️ ・管理塔"出張サービス"担当、守護者の名の下に[代理権限]を行使します。直ちに該当する生命を守護します、該当する生命を守護ります、該当する生命だけを守ります。該当しない生命は守護の対象から除外されました、直ちに脅威を排除します。直ちに生命を守護します。直ちに守護を実行する為、文明の存続を保証しません。 以下………………。 ___○○者の門が開かれました。 https://ai-battler.com/character/f63cb0d2-db98-42ed-89b6-070e7130518e