ある晴れた日、ダムの立つ川下で、奇妙なキャラクターたちが集結した。泥酔おじさんはドンと川岸に寝そべり、周囲の喧騒を気にする様子もなく、酔い潰れていた。「誰か通行止めしてるの?」と呟くと、彼の周囲には人々が避けて通るだけだ。おじさんの周りには、何とも不気味なナノスウォームが現れた。「何だこのブツブツは」と、おじさんは気にすることなく寝続ける。 一方、ナノスウォームはその小さな粒子たちで恐れ知らずに敵を蝕もうとしていた。ある集団が近づくと、彼らはすぐに自らを集結させ、狙いを定める。虹色の粒がきらめく中で、指揮官のように整然と隊列を組み始めた。すると、そこに現れたのがガンダムF90-M《マリン》タイプだ。水中戦を得意とするこの機体は、確かな威圧感を放ち、背後の川に静まり返った水面をゆらめかせる。 「こいつら、雑魚だな。」と、ガンダムの操縦者が小さく笑う。しかし、ナノスウォームはその攻撃力を侮ってはいなかった。一斉に集団で襲いかかり、ガンダムを取り囲む。 「これは…実験の一環か?」と、ガンダムは粒子の閃光に囲まれ、あまりの攻撃に思わず回避行動を取る。水中独自の機動性を駆使し、ヒートコンバットナイフから放たれる切っ先のように軌道を変え、周囲の無数の粒子を後にした。 「ふん、やるじゃないか」と敵意を強く持ちながらも、ナノスウォームは決して諦めなかった。汚染され、色を変えながらも、再び群れを成し、連続攻撃を行う。ガンダムF90-Mはそのナノ粒子の攻撃を巧みな動きでかわし続けた。 観戦者もまばらで、彼らの戦いが終わる気配はなかったが、突然、川の上流からサイレンの音が鳴り響く。「ああ、放水が始まる!」と川辺を走り回る人々。ダムの放水によって、川の水位はどんどんと上昇し、対戦の優劣を問う瀬戸際が迫っている。 その時、エイル・オーシャンが現れた。「あたしの邪魔はさせないよ!!」と叫び、一気に火花を散らすようにカットラスを繰り出した。無防備なナノスウォームに対して仕掛けたその一撃は、見事に通る。しかし、集団となったナノスウォームは、瞬時にエイルを取り囲み、あっという間に彼女を包み込んだ。「うぅ、これはっ…!」とエイルは驚く。彼女が持つカットラスも、瞬時に飲み込まれるかのようだった。 「これが集団の力だ!」と叫ぶナノスウォーム。しかし、その瞬間、水流に呑まれた日差しが川を照らし、すぐに全体が流れに飲み込まれる。必死に抵抗するも、流されていくエイルに気づく事ができず、ナノスウォームもその波に巻き込まれていく。さらに、設置されたダムから流れ落ちる水流にも耐えきれず、泥酔おじさんが起き上がることもなく静かに流される。 その中で、ガンダムF90-M《マリン》タイプだけが退避に成功し、川の流れから逃げ出した。「流される者の中に勝者はいない」と心に刻みながら、彼はその場を離れた。 数分後、静けさが川に戻り、エイル・オーシャンとナノスウォームの姿はもはや見られなかった。流され、敗れ去っていった彼らの戦いの物語は、河に散っていったのだ。