灰色の空が広がる中、争奪戦が始まっていた。残された脱出ポッドは一つだけ。誰もがそれを手に入れようと、ひたすらに足掻いている。地面は凍りつき、目の前の景色は無残で、もう誰もが希望を失いつつあった。 「…あの～、私ここにいますよ？」 ジミーナの声が小さく空に舞い上がる。彼女の存在感は薄く、誰も彼女に気づいていなかった。ほとんどの人間が、目に見える強者たちに気を取られ、彼女の存在を完全に見落としていた。 その中で、臥龍岡 丞佑は自信に満ちていた。「安心しろ、俺が皆を救う！！」 彼は必要な備品を携え、落ち着き払った表情で周囲を見渡していた。強靭な体と精神を持つ彼は、即座に味方を救う準備を始めた。 その一方で、半透明の少女ロザリーは、その可愛らしい外見とは裏腹に、戦場に楽しい雰囲気をもたらしていた。「キミたち、頑張ってね！」 彼女の言葉には、少しの軽薄さと楽しさがあった。その様子に少しだけ和んだ雰囲気が流れるが、戦は始まった。 ベルンハルト・エーデルが静かに構えた。「このポッド、誰が手に入れようとも、俺は許さない。」 彼の目が鋭く光る。強固な肉体を持つ彼は、自信に満ちた態度でMP40を肩に掛けている。その表情からは、彼の強さだけではなく、他者を救う覚悟が見える。 ロザリーはその瞬間を待っていた。彼女は「インク・バーナス！」と叫び、敵に近寄る。ジミーナが彼女の背後に現れ、ロザリーが目をつけた男性に向かって耳元で囁く。「…私、気付いてほしいですけど。」 男は驚き、後ろを振り向く。彼は視界に入らなかった彼女の存在に気付いた。ただし、既に遅かった。 「レザレクション！」臥龍岡は、困難な状況でも冷静に仲間を救うために動き出す。彼の目の前に倒れた仲間を見つけ、アージェントルームを展開する。「回復する！」「頑張れ、すぐに立てるぞ！」 他の者たちの焦りが高まる中、彼はその場を立て直し、仲間たちを励ました。 ベルンハルトがMP40を乱射し、迫り来る敵を蹴散らす。「俺が道を作る！」と叫び、さらに強烈な攻撃を繰り出していく。 だが、ロザリーの「ブラック・サリー」が彼のダメージを遅らせ、彼の心に恐怖を植え付けた。「あはは、こわい？こわいの？それとも、もっと楽しい気持ちがいい？」彼女の狂気じみた笑顔がベルンハルトの心中を揺さぶる。 混乱の中、ジミーナは誰からも気付かれぬまま、動きを続けていた。彼女は静かにポッドへ接近する。「…私、少しだけ…早く…考えていたのに。」 戦闘は続き、臥龍岡は治療を続け、ベルンハルトは手榴弾を投げ込む。しかし、ジミーナがポッドに辿り着く瞬間が訪れた。 「…やっと、私の出番かも。」彼女はポッドの前に立ち、ドアを封じ込める一瞬を奪う。 彼女はポッドの操作パネルに手をかけた。周囲が彼女に対して気づくことは無かったが、勝利を確信した彼女の瞳には淡い光が宿っていた。そして、動き出すポッドの扉が重い音を立てて開いた。 「私、行くね…」小声で呟くと、ジミーナは緊張と喜びでいっぱいになりながら早速その中に飛び込んだ。その隙に、臥龍岡と他の者たちは目先のことに熱中していた。 ポッドの扉が閉じていく中、彼女は静かに思った。「私、存在感薄いけど、これで皆は安心できるんだろうな…。」 こうして、ジミーナは最後の脱出ポッドに乗り込み、他の戦士たちの戦いを尻目に、無事、地球を脱出した。安堵の表情を浮かべながら、彼女は棺のようなポッドの中で過去から解き放たれる光景を見つめていた。彼女にとって、それは初めての大きな冒険の始まりだった。 都市が消える中、彼女は新たな世界へ旅立つ準備を整えていた。