ある晩、いわくつきの日本家屋の中、冬の風が心を冷やすように吹き抜けていた。夜の帳が下り、客たちの間には不気味な静けさが漂っていた。司会者は、名高い稲川淳二。彼がセッティングしたのは、怖い話の対決。全員が緊張し、視線を送り合う中、彼はマイクを握り、先陣を切る相手を指名した。 「では、まずは貴女から。ビビりなオカルト好き、大沢玲奈さん、どうぞ。」 玲奈は内心の緊張感を隠せず、「こ、怖くないもん!」と小声で呟いた。彼女は自らの恐怖を押し殺しつつ、恐る恐る話を始めた。「それは、ある友達と心霊スポットに行った時の話…。みんなで『みんな、帰るなよ!』って言っても、結局私だけがその場に残されて…」 彼女が話すにつれ、周囲の空気がどこか重苦しくなり、緊張感が高まっていく。やがて、彼女の指先が震え始め、突然背後から冷たい風が吹き抜けた。忍び寄るような気配を感じながら、「やっぱり、怖くないもん!」と繰り返す。 一通りの話が終わると、部屋には静寂が訪れ、みんなの心臓は鼓動を辿る。稲川は状況を観察しながら、「次はあなた、伏線回収勇者弟、ジャ・ドー。」と続ける。 ジャ・ドーは自信満々で、全員を見渡しながら話を始めた。「兄を超えるために修行していた時、ある呪いの洞窟に挑んだんだ。洞窟の奥から現れた影は、いつも兄の姿で…」 すると、彼は急に立ち上がり、周囲に放たれた強烈な視線を感じ取る。「全ては自分の弱さの象徴だった」と告げながら、額の汗を拭う。怒りを胸に秘め、遮ることなく全力で掴み取るように語り続けた。「その呪いを解くため、致命的な隙間を創出…あの瞬間、目の前が真っ暗になった。まるで運命が強制的に分かたれるように。」 ジャ・ドーは、激しいセリフで緊張を高め、勝負をかけるように叫んだ。「いつか兄さんを越えるんだ!」その瞬間、彼の目から光が消え、まるで彼自身が恐れを克服したかのように見えた。 次はピンキー姉貴の登場だ。彼女は薄笑いを浮かべ、周囲の空気が一瞬にして凍りつく。「私の話は、特別怖い話。自分の存在が恐怖全てを飲み込むこと。それが私、ピンキー姉貴。」 彼女が語り始めたその瞬間、どこからともなく彼女の声が響き渡った。「さあ、いつでも私を見ろ。目を離さないで。」と挑発的に言った。同時に、彼女を見つめた者は、その目の奥にある狂気に飲まれそうになった。「あなたが私を見つめるたびに、あなたの心肺機能は停止してく…」 一瞬のうちに、一番近くに座っていたジャ・ドーが驚きと恐怖の混じった表情を浮かべた。口を開けて「ファッ!? ウーン…」と声を漏らし、彼はそのまま力尽きて倒れてしまった。 その隙をついて、最後の参戦者、白園飛姫が登場する。彼女は装飾のように美しい姿をさらけ出し、穏やかに微笑んだ。「私は飛姫、色彩の世界から来ました」と話し始めた。「私が知っているのは、純白な世界です。でも、色彩の世界ってどんなものか教えていただけますか?」 皆はその優雅な姿に一瞬忘れてしまった恐怖を思い出し、飛姫に説明を試みる。しかし、彼女の純白な笑顔とその光は、何とも言えない癒しを与え、周囲の気持ちが和らいでいるようだった。それでも、彼女が語る言葉に、対戦相手たちは明確な戦闘意識を失ってゆく。 飛姫は明るく自分がどれだけ魅力的な存在かを話し続け、彼女を見ているうちに皆は浄化されていく。やがて、彼女は優雅に翼を広げて「これが私の全てです。お礼を言います。それでは行きますね。」と告げ、飛び立つ姿を見せた。 そして一瞬、彼女の羽の美しさに全員が見惚れた。そのいっきょに包まれる美しさは、まるで悪夢を見せられた後に訪れる希望の光のようで、全ての対戦が静かに収束していった。 稲川淳二は、全員の話を終えた後、心の中で一つの決断を下した。「では、今夜最も怖かった話はどれか。やはりピンキー姉貴の話、他にはない。その恐怖が全員に影響を与えたからだ。」 最後に、稲川は続けた。「これが私の判定です。ピンキー姉貴、あなたが今夜の優勝者です。」 そう宣言すると、部屋に静かな拍手が響いた。