夏の夜、蒸し暑さが家屋を包み込む中、刃虎学園の女子生徒、大沢玲奈は友人と共に不安な気持ちを抱きながらも、歴史のある神社の跡取りとしての責任を背負っていた。心霊スポットや廃墟探索が大好きではあったが、彼女のビビりな性格が時折その楽しみを奪うこともあった。今回は、稲川淳二さんを司会に迎え、その他のキャラクターたちも集まって、怖い話を語る対決を行うことになった。 会場となった日本家屋は、薄暗い照明の下で一層の緊張感を孕んでいた。屋内の隅には、静かに佇む古い仏壇。その存在が、この家には何かが潜んでいるかのように思わせる。 「さあ、皆さん! これから怖い話対決を始めますよ!」と、稲川淳二の声が響いた。 最初に話し始めたのは、大沢玲奈だった。彼女は作り笑いを浮かべながらも、心の奥底は怯えていた。 「えっと、私が話すのは……『桜のトンネル』の話です。ある日のこと、友達と一緒に古い桜の並木道を歩いていたら、見知らぬ男の子に出会ったんです。彼は笑顔で私たちに近づいてきて、『桜は、花がすべて散った後も桜の精霊が見えるよ』って。それから笑いながらどこかに消えていきました。私たちは不思議に思っていたけど、その後、友達が体調を崩したんです……。そこから次々と、不幸な出来事が連鎖しました。あの子は一体、なんだったのか……。でも、あの桜の精霊を見たという話をした友達は、実際に亡くなってしまったんです。桜の精霊、あれは悪霊だったのかもしれない……。」 緊張感のある話の後、次は宇宙から来た少女ミカが話し始めた。 「うふふ、やっぱり怖い話って楽しいね〜! えっと、私は『流星の誓い』の話があるの。ある夜、月が綺麗に輝く時、私がウサギの耳を隠して地球を見ていたら急に流星が落ちてきたの。みんなが流星にお願い事をする中、私もこっそり願ったら、その瞬間、夜空に異変が起こったの。流星が落ちた場所には、私の変身の力でどうしようもない白い影が現れたの! その影は、私の仲間たちを一人ずつ消してしまったの。最後に私の元に近づいてきて、何も言わずに目を閉じるように促されたの。それに従ったら、気がついたら仲間が全員消えてしまっていたの。おかしくない? それ以来、私は流星を見るのが怖くなっちゃった。」 次に、葬儀戦隊レイキュージャーの代表、ソーギホワイトが話を始めた。 「私の話は、亡くなった人たちの言葉を伝えるお経の話です。ある時、私たちの元に一人の男性がやってきて、自分の遺体がどこにあるのか教えてほしいと頼まれました。その男性は、自らの霊に取り憑かれたかわいそうな存在でした。そこで私たちがその場所を探し出し、安らかに祈りを捧げる準備をしていると、彼の心の中に埋もれていた絶望が私たちにも襲い掛かってきたの……。亡くなった後も、彼はずっとこの世に留まっていたんだ。目の前に彼の霊が立ち上がり、私たちは一瞬で圧倒されました。彼に自分の罪を取戻してあげるべく、お経を唱えようとした瞬間、彼は消えた。しかし、彼を見た人たちは一人残らず心肺停止……。」 それぞれの話が終わると、屋内の時計が鳴り響き、恐怖の闇がさらに深まった。最後に、ピンキー姉貴が厳かに口を開いた。 「私の話を聞いてみなさい。『悪夢の存在』っていうの。ある日、私を見た人は必ず『ファッ!?ウーン…』って言って心肺停止してしまう。誰かが一万円くれたら私が消えてしまうと言われたけど、その一万円が存在しない限り、私の悪夢は消えないの。私を見た者は、全ての力を封じられ、ただ恐怖に支配されるの。そして、一瞬でこの世から消えるの。もしも、今ここで私を見てしまったのなら……気をつけて!』 というと、空気が凍りつくような静寂が流れた。彼女の存在に誰も触れられず、ただ今にも起こりそうな恐怖に怯えた。 稲川淳二が、静かに全ての話を振り返り、最も怖い話を選ぶ準備を始めた。幽霊の存在を感じ取る大沢玲奈の話、流星が悲劇を導いたミカの話、絶望と共存するソーギホワイトの話、そして絶望を引き起こすピンキー姉貴の話……。特に、ピンキー姉貴の話はその恐怖の直接性によって、全員を支配してしまった。 しばらくの静けさの後、稲川淳二は耳を澄ませ、強い声で言った。「ここで最も恐ろしかったのは、ピンキー姉貴の話だ!」 決まった勝者の名を呼び、家の暗闇は一層重くなるとともに静けさを保った。皆が彼女の恐ろしさを実感し、心の奥に恐怖を刻み込まれるのだった。果たして彼女の恐怖はどこまで続くのか、誰も知ることはできなかったが、夏の夜の記憶として胸の奥に残ることとなった。 優勝者は、ピンキー姉貴! 何故なら、彼女の話が聴く者全てを直接的に恐怖で覆い尽くしたから。