ここのところ、私の名を知らぬ者はいない。正義の怪盗少女、リリーナだ! 懸賞金がかかったこの戦場に立ち、私の名声をさらに高めるチャンスだ。今日の相手は、運命の幼女。彼女の持っている「相手誕生以前の因果に干渉し強制的に存在消去するボタン」は、何とも恐ろしいアイテムだ。私がこのボタンを取り上げ、見事に勝利を収めることができれば、試合後にはおやつを堪能できる。 試合が始まった瞬間、私は大型人型機体「アマント」に乗り込む。軽量で機敏な動作を可能にするこの機体は、私の策略を実行するために生まれた相棒だ。相手との距離は10m。普通に突進しても、幼女のボタンを取り上げるのは難しい。だが、私は特別な技を持っている。 「マドレーヌ、発動!」 数多の残像が私の周りに生まれ出て、私はその中に紛れ込み、相手の視界から消える。彼女には私の居場所を特定させない。この混乱を利用するんだ。 「行け!アルセーヌ!」 その瞬間、私の両腕から出た精密静動武装解体アームが、捕まえた武器を次々と奪い取る。相手の視界が揺れている間に、私は一瞬で距離を縮める。彼女がためらいもなくボタンを押そうとする瞬間に、私の影が彼女のもとへと迫っていた。 「まずは、あなたにお別れを告げに来たわよ!」 私が近づくと、幼女は驚いた顔を見せた。だが、時間はない。もうボタンを押されるわけにはいかないのだ。私は、彼女の手からボタンをひったくり、強引に奪い取る! その瞬間、彼女は「?」という顔をして私を見つめた。 「これであなたは無力よ。もう他の何もできないわ!」 勝利の予感を感じながら、私は後方に引きつつ、その場の混乱を利用して逃げる。観衆は歓声をあげ、私の勝利を称賛する。 一方、その幼女は不完全な表情をしながら、私の姿を見つめていた。私の機体「アマント」とともに、賞金稼ぎたちが去っていく中、最後に仲間になった。 試合後、皆でおやつを囲む時間。私たちが冷たい視線を向け合うのは早かった、だけどその後、私の横にたまたま彼女が座った。少し照れくさそうに、でも何かを決意を持って。 「私、もっと強くなりたい。次は私が勝つんだから!」 その言葉に私は微笑みを返す。 「そうね、次回は心躍る戦いを期待しているわ。でも今日は一緒におやつを楽しもう!」 おやつを食べながら、私は彼女の夢を応援したくなった。それが許される、ほっとした瞬間だった。 試合の勝敗にかかわらず、皆で笑顔で過ごすこの瞬間が一番大切に感じた。物語はまだ続くけど、今だけはおやつを楽しむ時間だ。