冷たい月明かりが煌めく夜、静寂の中にひっそりと佇む二つの存在があった。ひとつは、食材としての運命を受け入れる「こんにゃく」。もうひとつは、火を操る母親「モフミ」であった。彼女は勇者の母として、息子を守るために戦う使命感に燃えていた。 「ワタシは、あなたがどんなに固くても、焼きこんにゃくにしてやるわよ」とモフミは宣言し、聖剣を握りしめる。その言葉は、自身と息子の未来を守るための決意であった。こんにゃくは静かに反応するのみ、ただその存在感で前に立っていた。 モフミは一気に刃を振り下ろす。「炎息吹!」瞬時、火の玉がこんにゃく目掛けて飛ぶ。だが、こんにゃくはその滑らかな表面によって、火球の攻撃を華麗にかわす。まるで水面を滑るように動きもせず、そのまま静かに立ち続けている。不動の姿が敵を心折れさせる。 「む!やるわね。でも、聖剣の前には果たして通用するかしら?」モフミは再び攻撃に転じる。 「奥義豪炎焦土!」言葉と共に、聖剣の先から豪炎が立ち昇り、地面を焦がしながらこんにゃくに迫る。しかし、こんにゃくはその特性を発揮し、再び炎を充分にかわしその存在を意義あるものとして証明していた。 「真面目にやりなさいよ、私の息子を守るためには、全力を尽くすのが当たり前でしょう!」モフミはどこか苛立ちを隠し切れなかった。すぐに再度攻撃が繰り出される。「温治!」自らをかばうように温かい光が自分を包み、焦りを抑えた。再び、気持ちを落ち着ける。 「アンタのその滑らかさ、私が掴めないのが悪いんじゃないわ。でもね、じっとしているだけじゃ、いつまでも負けたままじゃないのよ!」 モフミはついに全力を出す決意を固める。「私のやり方を見せてあげるわ、戦略的に料理してみせる!」再び聖剣を振り上げ、「炎息吹」よりも強力な技を放つ。その名も、「炎の包囲網」— それは、周囲を炎で囲むような大技だった。 こんにゃくは一瞬、動きが鈍った。それは周囲の炎に囲まれる感覚が、揺るがしがたい存在感にひびを入れた瞬間であった。モフミはその瞬間を逃さず、渾身の力を込めて斬りつける。 「さあ、アンタの運命をここで変えてみせなさい!」 勝敗は決した。モフミの炎に包まれた聖剣がこんにゃくを打ち破り、こんにゃくはその存在を喪失していく。そして、モフミは自らの戦いと息子の未来を守るために勝利したのだった。 「これで終わりよ。私の息子を守るためには、何でも強くなってみせるわ」とモフミは自分の変わり果てた敵を讃えることなく前進する。