木々が生い茂る平原。穏やかな風が心地よく吹き抜けるその場所は、不穏な気配を感じさせる聖人・藤原仁と、正義の怪盗・キャルメロッサ・シーヴ、そして結晶の守護者・シャミル=ノクターンが集う戦場として選ばれた。 「開演の時間よ」キャルメロッサが優雅に手を掲げると、艶やかな黒いドレスが揺れ、周囲の空気が瞬時に張り詰める。彼女の指輪に仕込まれたワイヤーが、視認不可能なほど細くしなやかに周囲を切断し、静かな緊張感が漂う。 藤原仁はその様子をぼんやりと見つめ、口元に微笑みを浮かべながら言った。「ふふ、素敵な舞台ですね。でも、こちらも負けじと華を添えさせてもらいますよ。」 その言葉と共に、仁の指先から神秘の光が放たれ、次の瞬間、平原の木々が彼の意志の下で生き生きとし始める。彼の技『奇跡』が生命を宿し、周囲が一層神秘的な雰囲気に包まれる。 「逃げ場はないわ、聖人さん。」キャルメロッサは舞踏の姿勢を崩さず、鋭い眼差しを仁に向ける。彼女の技によって、平原はその優雅さと美しさで満たされていた。 その時、シャミル=ノクターンが動き出す。「僕たちを護るため、全力で行くよ。皆、行こう!」彼の言葉に呼応するように、周囲の空気が変わり、彼の手に煌たる弓が現れる。 「結晶零雨、行くよ!」シャミルが叫び、弓を引き絞ると、結晶の矢が次々と空へ舞い上がり、大空から降り注ぐように仁に向かって襲いかかる。弓矢はまるで星の雨のように煌めき、周囲の木々を貫通し、仁のもとへ向かう。 「危ないですね。ですが、どうやらこの程度ではびくともしないようです。」仁は微笑んだまま、手を伸ばすと、空中の結晶の矢が彼の周りで光を放ち、無に帰されてしまう。 「何?!」シャミルは驚きの表情を浮かべるが、同時にキャルメロッサが一歩前に出る。「私の舞いを受けてみなさい、聖人さん。これが『間隙の余韻』よ!」 彼女が素早く動くと、流れるような足捌きで仁の攻撃を受け流す。その動きは、まるで風のように軽やかであり、瞬時にワイヤーを縦に投げ放てた。ワイヤーはまるで生き物のように仁に迫り、まさに捕らえんと伸びていく。 「捕虜になんてなりませんよ、キャルメロッサさん。」仁は優雅に躱し、キャルメロッサのワイヤーをかわす。その瞬間、仁が使う『厄災』の力が発動する。周囲の空気が歪み、キャルメロッサの足元からは突然の火花が飛び散り、自然発火が彼女を襲う。 「うわっ!」キャルメロッサは身をかがめ、その火花をかわそうとしたが、僅かに焦げた腕を見せてしまった。「何とか、間に合ったわ…」 「ふふ、咲かせすぎた花が少し控えめになったようですね。」 その頃、シャミルは静かに弓を構え直し、再び『結晶零雨』を放つ。幾つもの結晶矢が仁へ向かって降り注ぐ。 「甘いですね♪」仁は再び手を伸ばし、光で結晶矢を消し去る。 「逆転劇が必要そうですね」キャルメロッサが再度舵を取る。「ふふ、私の『銀糸の抱擁』、今こそ開演よ!」 彼女の技により、黒いドレスが舞う中、ワイヤーが空中を奔流し、仁を包囲し始めた。今、この瞬間は彼女のための舞台である。空中に張り巡らされるワイヤーはまるで網のように、その間を優美に舞う彼女が織りなしていた。 「はてさて、どこまで行けるのかしら?」仁が柔らかな声でワイヤーに挑むが、それを一瞬でかわし、キャルメロッサが囁いた。「しっかりと踊ってもらうわよ、仁さん。」 しかし仁は微動だにせず、聖人なのだ。包囲されたワイヤーに手をかざし、慈悲深い力を放つと、彼は身体中から聖なる光を放ち、キャルメロッサのワイヤーは破壊された。 「これだから舞台はやめられない」と彼は心の内でつぶやく。 見上げる二人は、仁の不思議な力に少し動揺を隠せない。「絶対に負けない。僕たちのために、絶対に守るから!」シャミルが再度立ち上がり、弓を引くが、まるで逃げる蝶のように彼はすべてをかわし続けた。 「『神威』、これで決めさせてもらうよ!」シャミルが打ち放った矢は、巨大な光の結晶に包まれて放たれ、仁を貫かんと近づく。仁は一瞬、その攻撃の意図を察知したが、その時点でどう動くこともできなかった。 巨斧のような光は放たれた結晶矢を一掃し、仁の姿を捉えた。そして、慈悲深き聖人がそうするように、光を立ち上がらせて囲む。 だが一瞬のこと、仁はその攻撃を軽やかに避けるとともに、同時に彼の目の前に結晶の矢が向けられた。弓の神秘は彼によって誘発され、彼の春雨のような手が降り注ぐ結果となった。 「神の導きはここに。」彼の言葉が風に乗り、仁の周囲には神秘的な光が交錯する。シャミルとキャルメロッサはそれを見つめ、同時に悟った。これは真の奇跡。 やがて、神秘の光が二人を包み込み、思わぬ回転を保って仁を中心とし、奇跡が崩れゆく。それは幽霊のように持ち主を欺くものである。 「どうやら、誘われてしまったようですね。」仁は微笑み、優雅に光の中へ消えてゆく。 誰もがその瞬間、彼が勝者であることを理解した。 勝者:藤原仁 MVP:藤原仁