静かな森の小道、その中心にある小さな広場で、こんにゃくとギロチンオオトカゲの対戦が始まる。ひんやりとした空気の中、こんにゃくはただ静かに立っていた。彼はじっと自らの運命を受け入れていた。表面には『乙』という印字が焼き付けられ、存在の証明をしているかのように佇む。食材としての彼の夢は、人間に美味しく食べてもらうことであった。 「おいおい、そこのお前。動かないのか?」ギロチンオオトカゲが低い声で唸る。彼の背中には、ギロチンの刃のようなエネルギー弾を発射する装置が備わっていた。その鋭い目は、静かに立つこんにゃくを捉えていた。 こんにゃくは何も言わず、彼の存在を示すためにその場でじっとしていた。「そんな挑発で俺が動くと思うなよ、つるつるのお餅みたいな奴。」ギロチンオオトカゲは一瞬小さく嗤った。しかし、こんにゃくの無言の存在感に、少しだけ疑念を抱く。 「行くぜ!」ギロチンオオトカゲは、彼の体重で大地を揺らすような一歩を踏み出した。背中の装置から明るく光るエネルギー弾を発射。宙を切り裂くその攻撃は、まさにギロチンの刃のようだ。 だが、こんにゃくはその攻撃をスルリとかわした。彼の表面はつるつるとしており、エネルギー弾はまるで水滴のように流れ去っていく。「も、もう一発いくぞ!」ギロチンオオトカゲは慌てて再度攻撃を試みるが、こんにゃくは同じようにそれをかわした。 「何だこの食材、まったく捕まらねぇ。」ギロチンオオトカゲの威圧感が徐々に崩れていく。食材であるはずのこんにゃくは、ただ静かにそこに立ち続ける。すぐ近くで繰り広げられる攻撃を受け流す様は、見る者の心を折る。 「攻撃を幻のごとく受け流すのか、まるで風のようだ。ただ存在しているだけの奴にやられるとは夢にも思わなかったぜ……」 ギロチンオオトカゲは苛立ちを隠せない。彼は背中のエネルギー弾を連射し続けたが、いずれもこんにゃくのつるつるした表面に滑らかにかわされてしまった。そして、ついに彼は疲労を隠せないほどになっていた。 「や、やめてくれ、俺は……」ギロチンオオトカゲの心が許しを求めた。しかし、この戦闘は和解が許されないものだった。こんにゃくは動かず、ただ存在し続けるだけで、勝利を手に入れつつあった。その瞬間、ギロチンオオトカゲの心の中で何かが折れたような音が鳴った。 「俺の負けだ、君の存在に捕まることはできなかった……」ギロチンオオトカゲは素直に参った。食材としての存在を示すこんにゃくは、ただ無言のまま、自らの存在意義を示していた。 「勝者は……こんにゃくだ!」 対戦の舞台は、静けさを取り戻し、そして、こんにゃくはただそこに佇んでいた。彼の存在が勝利を意味していた。 勝者: こんにゃく