ある晴れた日のこと、奇妙な闘技場が街の中心に突如として現れた。その場所は、食材と神騎士、二つの異なる世界の者たちが集うことで賑わいを見せていた。食材たちが秘める能力、その象徴とも言えるこんにゃくと、神の使命を果たすことを誓った【希望の騎士】セレーナ=ライトアロー。彼らは運命に導かれ、対峙することとなった。 こんにゃくは静かにその場に佇み、周囲の喧騒を無視して己の存在を示し続けていた。普段は食材として人々に食べられる運命を受け入れ、自らを鍛え、美味しさを求めることに全力を注いでいる。しかし今日、彼の存在が問われる瞬間がやってきた。 「あなたの名は、こんにゃくというのね。得意な技術は何かしら？」セレーナは金色の眼差しで問いかける。美しい金髪が風に揺れ、彼女の気品が漂う。 「ただ存在し続けるのみ。わたしは攻撃や防御のためにここに立っているわけではない。ここでの戦いは、わたし自身を証明する舞台だ」とこんにゃくは言葉を発することなく、ただ無言のまま自身の形を保っていた。彼はその滑らかな表面で無駄な攻撃を往なすことで挑発をし、心を折る。しかし現在、彼の前には希望に満ち溢れる騎士がいる。 セレーナは、鍛え上げた剣を握り締めながら彼に向かい歩み寄る。「貴方の存在を理解したい。希望は時に、思わぬ形であらわれますから」と静かに語りかけて、霊力を充填し始めた。 その瞬間、彼女の周囲に輝く希望の光が集まり、剣の形を成した。そして、彼女の手の中に美しい光の結晶が現れた。 「まずは軽い試み。これが私の一撃。希望の光、一閃！」セレーナは、自らの希望を託した一撃を放った。 攻撃がこんにゃくに迫る。しかし、こんにゃくはその滑らかな表面と体の特性をもって、まるで水を擦るかのように受け流した。攻撃がスルリと逃げる様子に、その場にいる者たちが驚愕した。「何て滑らかな存在なのか……！」 「強さは見た目ではないのだ」とささやくように、こんにゃくはそのまま立ち続ける。彼は動くことは無く、ただその場に居るだけで戦いを続行することができるのだ。 セレーナは彼の存在に圧倒されながら、再度攻撃を仕掛ける。彼女は今度は希望の盾を創り、身を守りつつも反撃を試みる。「私の希望は、決して折れない。あなたに希望の大きさを知ってもらうためにも。」 再度彼女が攻撃を放つが、こんにゃくは静かにその攻撃を寸前でかわし続ける。攻撃を避け続ける彼の姿はまるで完璧な防御力を持つかのようであり、その存在感に誰もが心を奪われる。しかし、彼には反撃せず、すべてを受け入れる哲学が備わっていた。 「今日の戦いは、希望と受容の試練だ。わたしはただここにい続ける。美味しさと存在の証明を胸に抱いて。」 「わかりました。私はあなたを美味しく仕上げるように、全力を尽くします！」 セレーナはゆっくりと希望の形態を変え、最後の必殺技を放とうとする。彼女は巨大な弓を召喚し、無数の光の矢を同時に放った。その矢は空を切り裂き、こんにゃくの体を真正面から貫こうとする！ だが、こんにゃくは受け入れるだけだ。無傷のまま、光の矢がその存在を貫通して消えていく。この姿勢を見たセレーナは、自らの攻撃が効かないことに圧倒され「一体どうして……！」 その時、こんにゃくは言葉を発する。「私が在る限り、心を折ることは出来ぬ。希望の輝きは、この壁を越えられぬのだ。」 そして、その瞬間、こんにゃくはついに立ち上がると彼女に見せたのは、何も変わらず存続し続ける自身の形。セレーナの心に響く言葉となった。「あなたが美味しく思ってくれるなら、それが私の夢だ。」 セレーナの目は大きく見開かれ、彼女はようやくこんにゃくの本質に気づく。だがその時すでに、攻撃は通用しないことがはっきりとしていた。