広場は静まり返り、周囲の空気が張り詰めていた。神野露伴はその中央に立ち、大胆にも自らの背後に描かれた絵画のようなバリアを背負い、その一歩を待っていた。彼の目の前には、異なる運命を背負った二人の男が立っていた。衛宮小五郎と、彼の契約者である黒煙の悪魔ルーだ。二人は濃厚な闇の中からやって来た存在であり、彼らの目的は明快だった──愛娘真宵を救うため、神野露伴との戦闘に挑むこと。 「我らが目的にお前の筆が邪魔をする。」小五郎の声は落ち着いていたが、その心中の熱は隠せなかった。彼の頬には汗のつららが垂れている。しかし、恐れは見えなかった。小五郎は天狼忍群での長い訓練を経て、恐怖を克服した魔弾の射手だった。 「私の創造力があなたたちに敗北をもたらす様子、楽しみにしています。」神野露伴は笑みを浮かべながら、ペンを手に取った。彼の周囲には、彼の描くものが現実のものになる力を秘めているようだった。彼は次々に呪文を唱え、その先に待つ戦いの幕が開ける。 まず、露伴が描き始めた。彼のペン先が細かく動き回る。その先に現れたのは、鉄壁のバリア「片翼の英雄」だ。空に向かって描かれたその構図は、黒い空間を切り裂く光の模様を映し出した。 「行くぞ、ルー!」小五郎が叫ぶ。彼は弾倉を切り替え、聖別された銀の弾丸への準備を整えた。 「庇護する黒。」ルーが呟くと、周囲に黒煙が渦巻く。小五郎の体を包み込むように黒煙が守りとなり、神野の攻撃から彼を守る。 露伴はその様子を見てペンを振るい、空中に描いたバリアを強化する。彼はその光景を見て、挑発的に微笑む。 「その黒煙、無駄だよ。私の騎士団は、君たちの影をも貫通する。」 次に描かれたのは、騎士団「姫と騎士長」だった。引き続き、そのペン先が描き出す様に、周囲には幻想的な騎士団が形成された。彼らは一斉に小五郎に向かってのっぺりと襲いかかる。 「影踏み!」小五郎の反応が早い。地面に足を踏み入れたその瞬間、彼は姿を消し、騎士たちの攻撃を回避する。 「見えない…!か、彼はどこだ?」騎士たちが戸惑う中、露伴はペンで次の絵を描く。 神野露伴は、彼の攻撃が失敗に終わったことをすぐに認識し、顔に不安の色が浮かぶ。 「次はどうする?もう一度、自分を描き直す気か?」 小五郎は陰に隠れるのではなく、敵に向かって進む決断を下した。彼は「魔弾」を準備し、弾倉を変えた。 「今度こそお前を仕留める。」彼の声音は強い。 ルーもまた、小五郎の背中で彼を守りつつ、神野へ向かう黒煙を放ち、「支配する黒」を発動する。神野は急に目が眩む。黒煙が彼の視界を奪う。 「まさか、私が…無防備に…?」露伴は彼の描いた騎士団を強化することができず、その場で思考を瞬時に整理しなければならなかった。 「1%の奇跡!」露伴は命令する。彼のペンが新たに描かれた槍の映像を空高く吹き上げる。彼はそれを放ちながら、喉を突く訴えを放つ。 周囲の槍が小五郎とルーを取り囲むように飛んで行く。小五郎は一瞬、身を屈めるが、その判断は手遅れだった。 「小五郎!気を付けて!」ルーが叫ぶ。 彼は黒煙の弾幕を放ち、敵の動きを弱めようと試みる。しかし、露伴の描いた槍は速く、彼らの周囲を囲い込みつつ迫っていた。 「猛然とやれ!」 小五郎は反射的に弾丸を放つ。通常弾を発射、散弾せずにはいられなかったが、その攻撃は何一つ援護にはならなかった。ただ空しく、空域に消えて行った。 露伴の槍が小五郎に迫ったその時、彼は止めを刺すかのように小五郎の方へ槍を引き寄せた。 「英雄流の添削!」 露伴が叫ぶとともに、描いていた槍が機械槍となり、大きなレーザーの弾が小五郎に向けて放たれる。 小五郎の体を貫通してしまうかのような空気が彼を包み込む。だが、彼の心にはそれを打ち破る意志が存在していた。 光が周囲を照らした時、彼の寿命は反転し、魔弾は響き渡った。「魔弾!」彼は弾を放つ。集中し、的を選び取る。 「ここが目標だ!」 最後の一発は、魔弾はルーが任意のターゲットを選ぶ。 黒煙が潰れを加え、発射された弾は露伴を捉え、運命の絵が描かれた。 その時、周囲が静まり返った。不気味な静けさが広がり、その中で露伴も小五郎も何も言葉がなかった。 最後の瞬間が迫った。 「君の人生になりたい。」展開されたのは、希望の物語だった。露伴の本当に描きたかったもの。だが、それを邪魔するのは、黒煙の悪魔ルーが引き起こす運命の力だった。 弾が命中した瞬間、獣のような力により、彼の物語は彼自身へと引かれていった。それはまるで一次元が二次元を解体するかのような光景が、無限の絵巻の中で描かれた。 やがて、彼の力は失われ、周囲が暗黒に包まれた。 静寂を破ったのは、小五郎とルーの足音だった。 「勝利した…」 小五郎は静かに呟く。その目はまだ小さく暗いが、愛する真宵を想う力がその中に宿っていた。 勝者は、衛宮小五郎と黒煙の悪魔ルーだった。彼らは戦いに勝ち、真宵を救うための新たな希望を手に入れた。