真夏の夜の静寂の中、稲川淳二は少し緊張した面持ちで集まったキャラクターたちに目をやった。月明かりが差し込む古い日本家屋に座っているのは、呪われた蝋人形、自宅警備員、地縛霊勇者アストレイ、そして兵士だ。これから始まるのは、彼らが持つ恐ろしい話を競う戦いだ。稲川は、各々が話すその筋や恐怖の深さを裁く役割を担う。 まずは、静かに佇む呪われた蝋人形が立ち上がり、自らの物語を始める。彼女は言葉を発することはできないが、周囲の空気が重くなるような存在感を漂わせている。蝋人形が語るのは、かつてこの館に住んでいた少女の悲劇の物語だ。少女は、その美しい姿を愛した魔術師によって蝋人形に変えられた。少女の魂は館に縛られ、永遠にその鎖から解き放たれることはなかった。蝋人形は細かいパントマイムを用いて、少女が望んだ自由と悲しみを表現した。 「うう、怪談話は怖くて苦手だな」と、地縛霊勇者アストレイが小さく呟いた。彼は蝋人形の話に感情移入し、彼女の痛みを理解しようとしていた。続いて、アストレイは自身の話を始める。「私も生前、命を賭けて戦ったが、最期は聖剣によって倒れてしまいました。」と彼は言った。アストレイは、自身が子供たちを守るために戦ったことや、地下の悪の魔物に立ち向かっていた時、ついに聖剣を持った瞬間に手が滑り、額に刺さり命を落としたその瞬間を語る。彼の声は淡々としているが、瞳には深い悲しみが映し出されている。 次に自宅警備員がそっと立ち上がり、彼の物語はまるで不気味な静寂が漂うようだった。彼の武器は日用品で、彼が自宅警備を担当する理由と遭遇した恐怖のハプニングを説明する。彼はある晩、家の外にいる布団の男たちに向かって、用意していた日用品を用いて叩き出す場面を描写し始めた。彼の暗い影がゆっくりと近づき、急に夜中に訪れる宗教勧誘者を叩きのめす様子は、不気味さを醸し出していた。 最後に、兵士が恐れることを一切しない態度で語りだした。彼の話は、極限の状況で直面した恐怖の体験だった。アサルトライフルを手に、自の身を守るために立ち上がった彼は、薄暗い森の中で仲間たちが次々と姿を消していく様子を語り始めた。「仲間が消えることで、次に自分がどうなるのか、いったい誰が生き残れるのか恐怖が心を襲う。それでも次の瞬間、自分が生き延びなければ誰が仲間を救うのか」と語り続ける。彼の最後の言葉、「恐れはなぜ生まれるのか、そこに考えられないほどの悲劇が隠されているからだ」という言葉は、聴衆全体を暗い気持ちにさせた。 一通り話し終えた後、稲川は真剣にうなずき、「さて、私が今夜の話の中で最も怖かった話を決めなくてはなりません」と言った。そして彼はゆっくりと思いを馳せる。暗い見つめによる最初の感触・静けさの中、蝋人形の悲しみ、アストレイの運命、そして自宅警備員の不気味さ、兵士の恐怖が交錯する中で、一際印象に残ったのは兵士の体験だった。 「今日一番の恐怖を感じたのは、兵士のお話だろう」と稲川は言った。彼は、兵士の物語がリアリティを伴っていたこと、そしてその恐怖がただ外的なものでない魂の内側からのものであったことを強調した。彼は静かに宣言した。「今夜の優勝者は、兵士だ!」と。兵士は静かに微笑み、他のキャラクターたちも彼を祝福した。