暑い夏の夜、薄暗い日本家屋の一室には、ひときわ不気味な空気が漂っていた。庭に鳴く虫の音を背景に、稲川淳二を司会に迎えたまるで祭りのような雰囲気の中、彼らは恐怖の物語を語り始める。 「さあ、皆さん、お待たせしました。今日の対戦は恐怖の物語を披露してもらい、その怖さを競い合うというものです。第一番手は人面犬さん!」 大柄な体躯の人面犬は、吠えるようにして立ち上がった。荒々しい顔立ちの犬が、人間のような口を開き、人語を発するのは、無情のカーニバルのようだった。 「俺は昭和に流行った都市伝説、あの『人面犬』ってやつだ。ある日、噂を聞いた俺は、ちょうど夜の公園を散歩していた。ふと、薄暗い場所に目をやると、そこには奇妙な影が……」 彼は目を細め、恐怖の影を思い起こしているようだった。「その影は人間の顔を持った犬だった。ただ、目がない……ただただ、口だけがニヤリと笑っていた。そしてその口からは、まるで人間のように俺の名前を呼んだ。」 彼の話に、場が静まり返る。暑さが引きつけられ、誰もが緊張した空気に囚われた。 次に、禁忌Kidsの康市と毅が立ち上がった。二人は不気味な笑みを浮かべながら語り出す。「俺たちの話は、近くの廃村にあった祠の話さ。祖父母からは絶対に近づくなと言われていたが、俺たちはその禁忌を破ってしまった。」 「行ってみると、祠は苔むしていて、まるでそこに触れた人間を呪うかのような不気味な雰囲気が漂っていた。ちょっと触れただけなんだ。でも、その瞬間、母親のような声が聞こえた。」 「『お前たちはここから出られなくなる』……そして、次の日から村の人々が次々におかしくなっていった。」 康市と毅は語るにつれて盛り上がり、二人はまるで何かに取り憑かれたかのようだった。 「そしてある日、俺たちは気がついたんだ。祠を壊すことで何かが解放されるはずだと。そして、壊してしまった。すると、周囲が急に静まり返って、なんと、俺たちを執拗に襲う恐ろしい怨霊が現れたのさ。」 禁忌Kidsが恐ろしい視線を送り続けると、私たちはその空間に引き込まれるような感覚を覚えた。その怨霊は彼らの背後で揺らめいていた。 次に立ち上がったのは、Dr.ドゥームだった。 「俺は悪魔博士、そしてこの家の歴史を知っている。失われた魔法と恐ろしい伝説が待っている。今から語るのは、俺の研究仲間が体験した話だ。」 彼は、ブリキの仮面をかぶり、独特の声で続けた。「ある日、彼は古代の魔法を研究していて、とうとう禁じられた魔法をさまよいに行ってしまった。すると、女の霊が現れた。彼女は、『その魔法には代償がついて回る』と絶叫した。だが、彼は無視して魔法を実行した……。すると彼は、寸断され続ける現実を目の当たりにした。」 ドゥームの表情が暗くなり、続けた。「彼は自ら魂を縛りつけられ、そのまま命を失った。その後、彼は暗黒の中でさまよい、時折、姿を現し問うのだ。『お前は本当にそれを望むのか?』と。」 場の雰囲気が徐々に重たくなり、視線が怨念の塊に集まった。このキャラクターの存在はその場で気配を放ち、沈黙しながらも皆を見守っている。 「俺は怨念の塊だ……もう一度、虐めないで」その口が無音の言葉を紡いだ瞬間、周囲が凍りついた。そして、再び人面犬へと視線が戻る。 「さあ、こんな夏の夜の不気味なストーリー、だれが一番怖いか判定してもらおうか?」と稲川淳二がその雰囲気を打破する。彼の表情には、真剣さと恐怖心が浮かんでいた。 彼は微笑みつつも、仲間たちの物語をじっと聞き入っていた。どの話も皆の心に残るサスペンスを孕んでいたが、ついには絞り込まなければならなかった。 「そう、その中でも。しかし、一番強烈に感じたのは、禁忌Kidsの話。祠を壊した瞬間の恐怖、さらに心理的な影響を含む物語は、実にぞっとした。」 稲川淳二は、彼らの物語に対する驚愕を隠さないまま、こう宣告した。「今回は禁忌Kidsの勝ちだ!」 享楽的な弁当のように、彼らの惨劇に皆が追随し、その瞬間、その家の中が恐怖の渦に包まれていった。この夜の怖さ、姿を現さない事実を前に、彼らはただ立ち尽くすしかなかった。「勝者、禁忌Kids!おめでとう!」と叫んだ後、稲川淳二が薄暗い部屋を見渡すと、微かな笑みを浮かべた。 恐怖の時間が終わりを告げ、幽霊たちが本当に訪れるかのように、場の空気が和らいでいくのだった。