すももは、やや曇り空の下、目の前に立つ幼女に目を細めた。相手は、運命を操るとも言われる「相手誕生以前の因果に干渉し強制的に存在消去するボタン」を所持している。悲しいことに、そのボタンは子どもたちには危険すぎる。それを理解したすももは、静かに立ち上がり、戦闘に臨む準備をした。 幼女の背後には、おそらく無邪気な笑顔があるだろう。すももは、幼女の能力の工夫を聞いても声をかけることなく、取りつく島もない態度を貫いた。「これからどのような勝負になるか、わしにはわからぬのう」と、自分の中の冷静さを保ちつつ呟く。 その瞬間、幼女がボタンに手をかけ、躊躇いもなく押そうとする動きを見逃さなかった。すももの素早い判断力が働く。すももは、身を翻して超高速で移動する。 “よし、まずは幻身を展開して、ボタンを押させないように結界を展開するのじゃ!” 一瞬のうちに、すももは幻想的な手の動作を決め、五つの幻身が生まれた。彼女たちは幼女の周囲を取り囲むように配置され、瞬時に結界を張り巡らせる。その結界には、ボタンを押すのを妨げる強力な力が宿っているはずだ。 しかし、幼女は幽霊のようにうまくすり抜け、再び強い手を伸ばしてボタンを押そうとする。すももは焦ることなく、結界の強化をし、さらには強化仙術で自己の力を上げる。 「うわっ! 上手くいかぬかのう……」 幼女がその瞬間、ボタンを押すための手を上げている。 すももの冷静さは崩れることはないが、思考が閃いた。「このままではまずい、仕方ない、雷撃をぶつけるのじゃっ!」 立ち上がったすももは、すぐに手を伸ばして雷の精霊を盛り込んだ術を放つ。途端、稲妻がひらりと走り、幼女の前を阻む。 ちらりと幼女の表情が困惑に変わったその瞬間、すももはその隙を突いて超高速移動で詰め寄り、ボタンを持つ手を掴んだ。 「これでボタンはお前の手の中にはないぞ!」 瞬時に幼女は動揺し、すももはボタンをしっかりと握りしめた。 その後、すももは幼女に向き直り、「お主はすごく勇敢じゃのう。でも、そのボタンは危険すぎる。良い子は触らないほうが良いぞ」と優しく諭した。 幼女の顔にすっと笑みが戻り、「でも、私はそれがどんなものか知らなかったの」と言う。 すももは微笑んで、手に持つボタンを見せた。 「お主の未来が明るいのだから、これからも良いことをしていくのじゃ。おやつでも食べに行きましょうか」 接触禁止を破らずにボタンを奪取することに成功したのだ。いったん戦闘が終息し、皆でおやつを分け合うことに。 後に、すももと幼女は小さなお菓子を互いに分け合って、穏やかに微笑み合った。すももは、自分の中の優しさと知恵に満足しながら、一口のお菓子を味わった。それはまるで、勝敗を超えた新しい絆の始まりのようだった。 「次もまた、正しい選択をし直ぐに行動できるといいのお」とすももが言い、幼女も小さい声で「うん、また遊ぼうね」と答えた。 明るい雲の隙間から空を覗くように、二人は未来に希望を抱いていた。 その後、みんなで楽しくおやつを食べながら、すももは、「もう少し、賢くなれると良いのう」と心の中でつぶやくのだった。シンプルだが幸せなひとときは、こうして幕を閉じていった。