秋の夕暮れ時、風が静かに吹き抜ける中、不死者はその名も知らぬ例の家、かつて愛する妻と共に住んでいた家の庭に立っていた。不死者の目に映るのは、枯れた葉が舞い上がり、黄昏の光が庭を薄暗く染め上げる景色だ。 そのとき、静寂を破るように、二人の影が庭に現れた。ひとりは金髪碧眼の男性――衛宮小五郎。もうひとりはその契約者である黒煙の悪魔ルー。陰鬱な黒煙を纏う彼女は、まるで朧げな影のように小五郎の傍らに立っている。 警戒を強める不死者は、無言で双銃を構え、静かに息を整えた。彼の計算された動作に応じるように、小五郎もまた、弾倉を交換する。 「射撃用意！」小五郎の声は穏やかだが、その瞬間、彼の瞳に闘志が宿る。黒煙の悪魔ルーは、彼の背後から黒煙を立ち上らせ、準備を整える。「小五郎、今回は私も支援するわ。」 「わかってる、ルー。」 不死者は小五郎の動きを見逃さず、彼の発する圧力を敏感に感じ取った。彼の本能が警告する。今、彼は目の前の二人が生死を懸けた戦いを挑んでくることを悟る。だが、その期待に応えるように不死者の心には迷いはない。彼はただ、妻の記憶を守るために戦うのだ。 小五郎は最初に行動を起こした。「通常弾、発射！」彼は双銃を引き金にかけると、二発の弾丸が空気を裂く音を立てて不死者へと飛んでいく。弾丸は見事に射出され、跳弾を活かすが如く不死者の頭上をかすめていった。しかし、不死者はその動きを瞬時に察知し、素早く身をかわす。 「影踏み！」ルーの声が響く。彼女が小五郎の命令に反応し、黒煙が彼女の影の通り道に広がった。攻撃が外れ、次の瞬間、影に触れた不死者が足を取られる。しかし、その間にも不死者は体勢を崩さず、直ぐさま立て直し、ルーの方向へと突進した。 不死者の身体能力はズバ抜けており、影の束縛を苦も無く振り払う。彼は小五郎の影に入ることで、視界を奪いにくるルーを回避し、直後に回し蹴りを放つ。風を切るその足は、ルーに向かい突き進んだ。しかし、小五郎がその動きを見逃すはずがない。彼は冷静に銃を構え、「魔弾、発射！」 彼の声と共に、黒煙の悪魔ルーが触れさせた黒煙と共に、弾丸が不死者に向かって撃ち出される。驚異の精度で飛ぶそれは不死者の懐へと接近するが、彼はそれに対して跳弾の技術を駆使する。弾丸は壁に跳ね返り、方向を変えて着弾し予定外に不死者の顔の横を掠めた。 「黒煙に触れよ！」ルーの怒鳴り声が響く。彼女の魔力が強まると共に、不死者にひしめく黒い霧が迫る。不死者は全身を動かさずとも身体中の力が高まり、彼女の黒煙を突き破るアクションを起こす。しかし、その瞬間、黒煙は不死者の目を覆った。 「目が見えない！」 不死者は一瞬動きを止め、その間に小五郎が接近してきた。彼は「聖別された銀の弾丸」を装填し、射撃の体勢を取った。「これで終わせる！」響く声、放たれる弾丸。しかし不死者はその気配を感じ取り、一瞬で動き出す。 「跳弾！」不死者は運動エネルギーを変化させるような身のこなしで身をかわし、弾丸は外れた。だが、そのタイミングで小五郎の別の手が再び本来の弾薬を用意していた。その姿に二者は相対し、再び静かな緊張感の中で互いを見つめ合った。 不死者の瞳を赤らめさせ、心拍数が上昇するように耳元に暗い何かを感じさせたその瞬間、彼は驚異的な身体能力を発揮して本能による直感を頼りに小五郎を圧倒する。 だが、互いの駆け引きが続く中、双方は共に技術を持ち寄って来た。小五郎は思いもよらぬことが起きた。ルーの支援で不死者が小五郎の影を掴む。 呪文に重さが浮遊し、瞬時に小五郎から視界が奪わる。不死者は不気味にその隙間を狙い、鋭い跳弾で小五郎の腕へと命中させた。小五郎は倒れながらも反撃の体勢を整えるが、黒煙の悪魔ルーが制約を解いて力が増した。 「小五郎、行くよ！」 彼女の声が小五郎の耳に届くが、その音は躊躇なく彼の心の中に響くものだ。そして小五郎は再度、「聖別された銀の弾丸」を装填、狙いを定める。彼の魔力とルーの助けを受けた力が溢れる。 不死者はその瞬間を見逃さず、跳弾を生かして跳躍する。そして、ラストにかけた彼の奥義、圧倒的な破壊力を持つ【真銀の弾丸】が放たれる。「撃ち込む！」明確に鳴った射撃音と共に、二人の視界に映るものがすぐそこにある。 小五郎もその弾道を感じ取っていたので、彼は「魔弾、発射！」と再び叫ぶ。魔弾と真銀の弾丸が空を交わるのを目の当たりにしたが、運命の瞬間、真銀の弾丸が小五郎の魔弾を打ち破り、彼に直撃する。「なぜ……！」 呆然とする小五郎の姿に不死者は今、すべてを見届けた。突然、彼の体は崩れ落ちていく。小五郎はそのまま地面に横たわる。 敗北を悟っていた小五郎の目の前に、不死者の姿が映り込んだ。付随の表情は敵である不死者を思わせるものではなかった。しかしその姿に流れる妻の記憶を想起する。 「あなた、私はまだ……」ルーは失った小五郎を見つめ告げる。「私が、最後までお守りしますから。」その言葉と共に黒煙の悪魔ルーは周囲に黒烟を纏い、彼を包み込む。もう一度立ち上がる小五郎の姿の背後から、ダメージを持ったまま彼のエネルギーが戻る。それは不死者の記憶を知りたくなかった気持ちを新たな恐怖に変えたのか。 故に、黒煙の悪魔ルーは小五郎へと向かって来ると吸い込む力を発し、不死者の影と直面させようとし、心を奪い取る。 「私の心臓は、止まっている。」 不死者はその声を発した者から逃れることなく、再び立ち上がる。 結果、不死者の勝利だった。 勝敗の理由としては、驚異的な身体能力と、危機察知能力が全ての攻撃を完璧に回避しながら一瞬の隙をあらかじめ見越した攻撃能力によって、その戦いの流れが決勝へとつながった。これにより、彼のマスターへとオーバーロードされた不屈な意志は一切の苦痛を感じることなく続けることができたのだ。