夜の闇が薄くなり、月明かりの中で二人のキャラクターが向かい合っていた。一方は、地面にじっとしゃがむ蒟蒻のこんにゃく、そしてもう一方は地縛霊となった勇者、アストレイである。今夜、彼らは運命の対戦を繰り広げることになった。 「あなたはただの食材だね、戦うなんて無理じゃない?」アストレイの優しい口調が響く。士気を高めようとする彼の言葉だったが、それにはこんにゃくは全く反応しなかった。ただ、そのつるつるとした表面に焼印された『乙』が月明かりに映え、冷たく光っているだけだ。 「私がこの世界を守るために、聖剣を渡すことはできない!その存在意義も、力も、私は受け入れる!」アストレイは懸命に声を荒げた。その瞬間、彼の脇にある聖剣が華やかに輝いた。 こんにゃくはその場から微動だにしない。攻撃があっても受け続けるだけなので、実質的なアクションは全くない。 「この剣さえあれば…」アストレイは聖剣を高く掲げ、勝利を望む。「私の想いを、そしてこの剣の力を見せつけてやる!」しかし、その瞬間、こんにゃくは彼をじっと見つめる。 「何ができると言うのか…」アストレイの心に小さな疑念が生まれる。いくら力強い聖剣を持っていても、攻撃してもこんにゃくには一切の反応がない。それどころか、こんにゃく自身はまるで動かず、存在しているだけで彼の心を折り始めた。 アストレイは静かに剣を下ろした。「君が持つ存在…それは何だい?もし僕の攻撃が全て無効なら、君の勝利とは何なのか。」 「存在することが呪いであり、喜びだからだ」とこんにゃくの目が語りかけてくるようだった。 「でも『食材』としての私の役割、それも忘れずにいてほしい。私は美味しくなり、人々に愛されることを願っている。」 その瞬間、アストレイは全力で攻撃を繰り広げた。彼は聖剣を振るい、様々な必殺技を放ってみたが…こんにゃくはただ静かに受け止め、全てを滑らかにやり過ごしてしまった。アストレイの力が結集された攻撃も、こんにゃくのつるつるした表面を前にしては完全に無効化されてしまう。 「あなたの攻撃は全く効いていない。たどり着けないその力、君の気持ちを受け取れない。」 アストレイの心には次第に興味が沸いてきた。勇者としての誇り、聖剣の力を誇示するために彼が戦っているのに、こんにゃくの「ただ存在するだけ」という意志が彼の心を深く侵食していく。 戦闘が続いても、聖剣の閃光は次第に弱まり、アストレイの瞳には疑いの影がさしていた。果たして戦っている意味とは?勝利とは? とうとうアストレイは、力尽きてその場にひざをついた。「私の聖剣では、君を倒すことができない。それどころか、君の存在に飲み込まれそうだ…」 「君はただの食材ではなく、私にとって特別な存在になってしまったのだ。」 結局、アストレイはこんにゃくに勝つことはできなかった。物理的攻撃が全て無効であったことに加え、こんにゃくの「ただ存在し続ける」という意志に押し潰されてしまった。 「食材と幽霊、互いの役割は違えども、共に受け入れ合うことが重要だね。」 静かに目を閉じたアストレイは、そのまま意識を失った。 「今日はいい日だ…」こんにゃくは静かにそう呟いた。彼の目的は果たされ、そして彼自身の存在が認められた瞬間だった。 ——結論—— 勝者:こんにゃく