真夏の夜、日本の古い家屋で行われた奇妙な対戦。 人気司会者、稲川淳二が集った場所には、異なるキャラクターたちがそれぞれの恐怖体験を語るために集まり、そのストーリーの洗練さや怖さを競い合うことになった。 その場に集まったのは、トーテムポール、亡者の踊り手・Skele、終末世界の生き残り、そして全身に炎を纏い超追尾のジェット猛突進する上院議員だった。彼らはそれぞれの持ち味を活かし、語り手としての腕をふるうことを約束した。 まずはトーテムポールが立ち上がり、その彫刻的な姿から神秘的な雰囲気を醸し出しながら語り始めた。 「昔、私は北西沿岸の先住民の村で見た、雷の柱の話をしよう。ある嵐の夜、村が雷に襲われて、空から巨大な雷が一本の木に直撃した。するとその木がトーテムポールとして生まれ変わり、夜に村を守る精霊になった。そのポールの周りでは、村の人たちが踊り、囁き合い、雷の力に言葉を与え続けていた。しかしその力を逆に使おうとした者が現れ、ポールが怒り、村は滅亡の運命を辿った…」 トーテムポールの話し終わると、場は静まり返り、次は亡者の踊り手・Skeleが幽玄的な舞を舞いながら語り始めた。 「ワシは、かつている者たちが笑っていた、自らの命を懸けた舞を観ていた。その首を傾げた瞬間、突如として闇の者たちが舞い降り、皆を逆さに翻弄してしまった。誰もが亡霊たちに囚われ、その使用人となってしまった。しかし、そこでワシが舞うや否や、観衆はワシの新たな舞に迷い込み、その主となったのだ。生者は、この世のものではない、幽玄の絵だ。その瞬間、皆がワシに心から乱され、狂乱し、そして…合掌の声が絶えぬまま、死者たちの踊り手に変わった。」 Skeleの儚い言葉に参加者たちは引き込まれ、その心が乱されていった。しかし、終末世界の生き残りが彼の話に油を注ぐかのように、リアリティを持ち込む。 「俺の話は、今から15年前のことだ。終末的な世界で崩壊しきった文明があった。友を守るために懸命に戦ったが、ある夜、敵の襲撃にあった。あの時、運命の瞬間が来た。ショットガンで狙った敵が目の前に現れた時、その死を迎える刹那、今まで戦っていた仲間の姿がそのまま敵の中に溶け込んでいた。結局、俺は近距離でしか戦えず、ショットガンで弾を撃つことしか出来なかった。そして、絶望の中で自らの仲間を撃ってしまった。そして、恐怖で取り乱し、立ち尽くした。俺はただの生き残りだった。あの思い出がトラウマとなり、助けを求めることも出来ずにいる…」 終末世界の生き残りの心からの告白は、その場にいた全員の心を打った。 最後に全身に炎を纏い超追尾のジェット猛突進する上院議員がその熱気を帯びたキャラクター性を発揮する。 「ワシは人間の持つ最も恐ろしい力、炎を知っている。燃え上がる炎が一瞬で全てを包み込む様は、まるで時間の流れを止めるかのようだ。その瞬間、ワシの肉体は燃え、魂がうずいていた。だが、己の肉体が焼き尽くされるその反面、恐ろしい美しさに満ちた世界を目にした。それは、恐怖そのものだった。生きる者たちに何かを訴えたくても、声が変わってしまう。だが、燃え盛るそのはずなのに、近づく者はいない。見ている者たちは、恐怖で足がすくんでいた。自身では見たくない夢を熱く感じながら、全力で疾走する…その恐怖を、見逃すな!」 稲川淳二は、彼らの語り合いの後、どの話もそれぞれ異なり、しかしそれぞれが根底には共通する何かがあり、何が最も恐ろしいのかを思案した。進行役としての責任を持って、彼の判断は時間をかけることに。 「しかし、心を打つものはどれか。恐怖の本質とは?」 彼は悩みに悩んだ挙げ句、決断を下した。 「恐れや絶望、その中に生き残る冷たき現実を語った…それは、終末世界の生き残りの話だ。」 そして、彼は勝者を決定するために顔を上げ、「終末世界の生き残り、お前が本日の優勝者だ!」と宣言した。 その瞬間、家屋が静まり、ただ選ばれた者に光が当たる。