寛永の春、江戸城中庭にて。舞い散る桜の花びらが陽光に照らされ、幻想的な空間を演出していた。多くの剣士たちが対戦を見守り、緊張した空気が漂う。 「なあ、あれが【怠惰な一刀】地藏 紫雨だろ?」 「うん、彼女は有名な武士なのだ。攻撃を受け流すだけで、動かずに勝つことを目指している。」 観客の話し声が高まる中、紫雨は気怠そうに立ち、藍色のポニーテールが軽やかに揺れていた。一方、対戦相手の「終幕」World for zeroは、四本の腕で武器を操り、異形を成していた。彼の存在が場の雰囲気を変え、不気味な緊張感を漂わせる。 「私、いつ始まるのかしら。はぁ、面倒臭い。」 紫雨は半眼で空を見上げ、余裕のある態度を保っていた。しかし、その内心では探るように敵を見据えていた。「あの化け物、どうせ無駄に動くだけなのだろう。」 「オマエヲケス。」 「終幕」の声が響く。彼は雷を帯びた剣を振りかざし、一瞬のうちに紫雨に向かって斬りかかる。敵の上段からの一撃は、音速を超える勢い。 「はぁ、また動かないといけないのか。」 紫雨はその場から最小限の動きで斬撃を受け流し、刃が通り過ぎる瞬間に自身の刀を構え直す。 「justice!」 「終幕」のジャスティスの腕が動き、その武器から雷のような閃光が走り、紫雨の肩を掠める。轟音と共に周囲に火花が散り、紫雨の和服が切り裂かれ、白い小石が飛び散る。肩に深い傷が走り、血が流れ出たが、彼女の顔色は変わらない。 「痛くも痒くも無いのだが。」 その言葉と共に、紫雨は急に静かな動作で敵に近づき、長い刀を一閃させる。カウンターの姿勢が緻密に完遂され、彼女の刀は「終幕」の側面を捉える。 「くっ!?」と彼は不意に驚く。その瞬間、紫雨はその流れのままさらに一撃追加、傾く彼の腕に触れる。 「オマエヲケス!」 「exe。」 「終幕」の.exeの腕が動き出し、全体斬撃が発動。紫雨の周囲に黒い衝撃波が起こる。 「怠惰もここまで来ると、やはり面倒臭い。」 紫雨は冷静なまま、次々と来る攻撃を受け流し、静かな表情のままカウンターを放つ。 試合は長引き、どちらも疲れが見え始める。紫雨の傷は深くなり、全身を網羅するような痛みが絶えず彼女を襲う。しかし、彼女は怠惰を貫き通し、疲労感さえも無視し続ける。 「お前の攻撃は、全て私の動きに帰結する。」 「お前をどうにかして」と、終幕が顔を歪める。 「やっとボロが出たようね。」 紫雨はそこから一気に攻め込む。後転しながら、敵の攻撃を見極め、いつもの無動の剣を放つ。 「KO!」彼女は無言のままがっしりと地面に足をつけ、再び動かずに立ち上がる。 「ハァ、もう終わりかしら。」 その時、将軍が微動し、場が静まる。彼は勝者である紫雨に注目し、優雅に声を発する。 「見事な勝利だ、地藏 紫雨。お前の怠惰な剣術、無駄に高いIQ、素晴らしい技だった。」 「はぁ、別にいらないけど。」 将軍は紫雨を褒め、その功績を讃え、贈り物を手渡す。観衆の喝采の中、彼女はすこし抵抗しながらも受け入れる。 「それじゃ、これで帰るわよ。」 最後に、彼女は将軍を前に古風な和歌を詠み始めた。「怠惰注ぐ春の光、桜舞う中に、ひとしずくの侍の調べ、また隠れ行く日の向こうへ。」 ゆっくりと、朱色に染まる彼女の後ろ姿が、場を後にしていく。桜の花びらが降り注ぎ、歴史に名を残した戦が終わった。 その瞬間、江戸城に静寂が戻り、彼女の名は再び語り継がれることとなった。