その夜、薄暗い日本家屋に集まったのは、不思議なキャラクターたちだった。土間の中央に置かれた囲炉裏を囲むように、彼らは静かに座り込み、不気味な雰囲気に包まれていた。司会の稲川淳二は、目を細めながらメンバーたちを見渡す。 「さて、みなさん。ここは怖い話の宴。その恐怖の裏側にある真実を語り合いましょう。」と、稲川が穏やかな声音で言うと、海神ポセイドンがそのまま口を開いた。 「俺から行くぜ。俺の恐怖の話は、海の底から聞こえる『声』についてだ。」 ポセイドンは、水の神として育った彼らしく、海にまつわる恐怖を語り始めた。 「ある日、漁師たちが海に出た。長い時間が経つにつれ、あたりは霧で包まれてしまい、視界が悪くなった。遠くからかすかに聞こえる声が、彼らを呼んでいたんだ。『助けて…助けて…』そう、無気力な声が。」 ポセイドンはその時の様子を描写するように、声が何かに迫ってくる雰囲気を伝える。 「漁師たちは恐る恐る声の方向に近づいた。そしたら気づいた。そこに、海底に沈んだ船の残骸があった。全ての乗組員が行方不明な船。その船から聞こえていたんだ。助けてくれと。しかし、その声は元々生きていた者どもではない。死んだ者たちの恨み、その声が、彼らに近づいて、助けを求めるようになった。」 最初の話に居合わせたキャラクターたちは、その語りに引き込まれるように聴き入った。その後、レーズンがか細い声で語り始めた。 「私が体験した怖い話は、ある廃病院について…。」 レーズンは、やはり怯えた様子で語り出した。 「昔、その病院では悲惨な実験が行われていて、患者たちが苦しむ姿が目撃された。ある日、一組の探検家たちがその病院に入ることになった。彼らが病院の中を進むと、壁にはびこる恐ろしい影。どこかで悲鳴が聞こえた。」 レーズンは恐怖で震えながら話を続けた。「探検を進めるうち、彼らは一室にたどり着く。そこにはガラスケースがあり、中には幽霊のような患者がいた。だが、目が合った瞬間、彼らは気づく。中の患者は、罪を背負った死者だった。私たちはどこかから逃げなければいけなかったのに、動けない。恐怖のあまり、心が凍りついてしまう。気がつくと、その患者たちが周りを取り囲んでいて…怖い、怖い…” レーズンはその後も、「逃げるのは簡単にはできなかった。私は何度も見えない力に引き寄せられた…」と語った。だが、途中で声が詰まってしまった。 続いて、2つ結びの小学生が、満足気に話を始めた。 「私は、学校の図書室で読んだ話がある。あるお寺での出来事。」 「お寺には、長い間閉まっている扉があって、誰も開けられたことはなかった。そんなある日、一人の子どもが好奇心からその扉を開けたんだ。すると、室内には写経の代わりに遺体が供えてあった。それが、ある宗派の儀式の一部だったという。それを見た瞬間、彼は時を戻すように、背後から聞こえる呻き声に振り向く。そこには、何もかも知っている亡霊たちがいた。彼は、彼らに自分の生を選ばせるように求めたのだけれど…」 子供は話す途中、霊たちが背後にいることに気づくと、恐怖に顔を歪めた。しかし、彼は最後まで従いたい意志を貫いた。「恐怖は、自分を見失わないで、確かに選べるものだと。」 最後に兵士が体験した物語を冷静に語る。 「私が見たのは、戦場での一コマだ。ある敵部隊が何十人も命を落としたバンカーで、悲鳴がこだました。敵の遺体に触れた時、一瞬その者の苦悶の瞳が私を見つめた。逃げられない。死んでいるのに、彼らの怨念が私を捕らえた。だから泣いている声が聞こえていた。」 兵士の言葉は、深い静けさの中に響くように感じられた。彼は無言の内にそれを報告し、周囲を見渡した。皆が静まり返るなか、稲川淳二が深くうなづく。 「さあ、みんなの話を聞いたところで、どの話が一番怖かったのか判定しよう。どれも異なっているが、最も心に残ったのは…」 稲川が悩んだ末に決めた。「それはレーズンの話。実験と恐怖の結びつきが、彼女のビビリな個性と相まって、存在感を際立たせた。彼女の怯えこそが、恐怖の本質といえるからだ。」 こうして、その夜の勝者はレーズン。彼女は小さく微笑みながら、ほっとした様子で座り直った。