薄暗い道場の中、そこで非常に異なる二つの存在が対峙していた。一方は、無機質でありながら、その存在感は圧倒的な食材「こんにゃく」。真っ白で滑らかな表面には「乙」の印が焼き印され、静かに立ち続けている。もう一方は、剣の達人である佐々木小次郎。長刀を軽々と手にし、彼の目は冷静かつ鋭かった。 「ここで待っていたか、こんにゃく。今日こそお前を切り裂いてみせる!」小次郎が叫ぶ。声は道場の壁に反響し、緊張感を高めた。 「ただ、存在し続けるのみ。」コンニャクは静かに応じる。その言葉は響くことはなかったが、彼の立ち姿は揺るぎなかった。 小次郎は刃のエネルギーを集中させ、巧みにその刀を振るった。「巌流!」彼の刀が一閃し、真横に走る刃がこんにゃくに向かって迫る。しかし、こんにゃくの表面はつるんとした質感で、斬撃がまるで空気を切り裂いているかのように擦り抜けてしまった。 「な、何だこれは!」小次郎は驚愕し、前に出た刀がそのまま空振りをした。 そしてまた、こんにゃくは何事もなかったようにその場に静止していた。交わることのない二者の攻撃と防御。小次郎は再度攻撃に挑む。 「秘剣燕返し!」再び小次郎が刀を振り下ろすが、こんにゃくはただその場で待ち構える。斬撃が彼の上を通り過ぎる。 「どうして、私の攻撃が効かないのか…」小次郎は心の中で呟く。疲れが見え始めた兵士の顔。しかし、攻撃を続けることこそが剣士としての本能であり、その運命を受け入れなければならない。 小次郎は必死で攻撃を繰り返すも、こんにゃくはただ無言で立ち続け、全ての攻撃を回避する。 「存在が、重い…」ついに小次郎は膝をつき、自らの力不足を思い知らされる。攻撃するたびにその存在の重さが心にじわじわと圧し掛かる。 「そして、もうお前は駄目だな。存在し続ける理由がなくなったのだ。」こんにゃくは冷静に語った。小次郎に悟りを与えるが、彼はその言葉の意味を理解する余裕がなかった。 小次郎は最後の力を振り絞って、再度前進し、刀を振るった。しかし、またしても滑らかな表面を前に、力尽きてしまった。 「これが、運命なんだ…」戦意を失い、彼はその場に崩れ落ちる。最終的に、勝利したのは静かな存在、こんにゃくであった。 戦いの結果、こんにゃくが言葉無き勝者となり、その日の勝負が幕を閉じた。