わらべは周囲の静けさに耳を澄ませつつ、１０ｍ先に立つ運命の幼女の姿を見つめていた。相手は既に「相手誕生以前の因果に干渉し強制的に存在消去するボタン」を手にしており、その冷たい金属の光がわらべの視界に映る。 「ぼく、遊びたいな…」 そんな思いが頭の中を駆け巡る。彼は遊びを通じて、相手と交渉し、この緊迫した状況を和らげることに決めた。まずは、縄跳びを仕掛けることにする。 「いっしょに縄跳びしよう！」 わらべは笑顔で呼びかける。相手は何も返事をしないが、その視線はどこか気になる。彼は自信を持って縄を振り回す。 「ほら、１０回跳ぶのがルールだよ！」と声をかけ、わらべは縄を回し始めた。相手は一瞬驚いた表情を見せたが、しっかりとその場に立ち続けている。 一回目、二回目と、縄はわらべの動きに合わせてスピードを上げていく。相手はもとより素早く動けないが、周囲が緊迫した雰囲気に包まれる中、わらべは気軽に跳び続けた。 「ほら、あと９回！」 彼の声が響くと、相手もさすがに縄跳びに引き込まれてしまった。わらべはさらに速さを増し、彼女がボタンを押すことも忘れさせると信じていた。 「あと３回！」 そして、最後の跳躍を決めると、相手はうっかり足を止めてしまった。 「成功だよ、ここまで！」わらべは勝ち誇る。対面に立つ幼女の表情が、少し緩んだように見える。 次に、わらべはかくれんぼを提案した。 「ぼくが数えるから、隠れて！」 幼女は「何を企んでいるんだ？」と心配そうに思っている気配が伝わってくる。しかし、わらべはあえて無視し、数える。 「いち、に、さん…」彼は目をつむり、その間に幼女は隠れ場所に走り去る。数え終えたあと、わらべは周囲を見回す。 彼女の影を捉えられずに、前に進むことがだんだんと難しくなってきた。 「どこだ、どこだ？」 おどけた声を出しながら探し続けるが、彼女は上手く隠れたようだ。結局、わらべはいくつかの試行錯誤の後、ようやく彼女を見つけることができた。 「見つけた！」 最後は、鬼ごっこの時間だ。わらべは「じゃあ、今度は捕まえてみて！」と挑発する。彼は遅れて逃げ始める。こうして、わらべは嬉々として逃げ回る。 結局、追いかけっこは終わりを迎え、わらべは自己満足で苦笑いをしながらも、運命の幼女に振り返る。「どうだった？」 幼女は最後までボタンを押すことはなかったが、「すごく楽しかった！でも、次は負けないから」と意気込む。 「よし、みんなでおやつ食べよう！」 気まずい雰囲気は和らぎ、子供たちは和気あいあいとした雰囲気でおやつを楽しんだ。どちらの勝ち負けも無く、ただ遊ぶことが一番大切だと認識しながら、そんな日常の一コマが流れていった。 こうして、わらべは一日を楽しく過ごすことができたのだった。